1年目にしてすでに企業との連携も

── まだ学部ができたばかりで就職や院への進学実績などは出ていないかと思いますが、企業からの反響はありますか。

 

藤田さん:うちの教育カリキュラムにぜひ参加したいと、企業からの申し入れは多数あります。

 

すでにソニーグループやDMG森精機などとは包括協定を結び、講師派遣やワークショップの開催に協力してくれますし、住友電工も講座を寄付してくれます。これも、女性エンジニアへの関心の高さの現れでしょう。

 

履修科目をどう組み合わせるかは学生の自由なのですが、学びが主体的になればなるほど、本学が用意した科目では物たりない、というケースも出てきます。

 

実際、機械工学をもっと学びたいという学生がいると予想されますので、今、DMG森精機から主任研究員に来ていただいて、授業や卒業研究の指導をお願いしています。

 

学生がやりたいことに大学が全力で合わせる。そうやって学生の個性を育てる取り組みを続けていく学部でありたいです。

 

日本の女子大学で初の工学部を創設した奈良女子大学

── うらやましい環境です!そんな奈良女子大学工学部で学びたい受験生に、学んでおいてほしいことはありますか。入試要項をみると、数学Ⅲが必須ではなく、文系の生徒も受け入れてもらえそうな余地を感じますが…。

 

藤田さん:微分積分などの基本的な数学については、入学後にきちんと勉強するシステムになっています。文系学生にははじめて学ぶことでしょうが、奈良女子大学附属中高で長年数学を教えていた先生の協力を得ながら、必要なことは学べるようにしています。

 

大事なのは「自分が、どんなことを未来に実現したいか考える」ことです。

 

未来の社会を思い描き、「こういうことをやってみたい」と考える、あるいは考えたいなら、ぜひ本学の工学部に来てください。工学部でなら、きっとそれがかなうでしょう。

 

PROFILE 藤田盟児さん

奈良女子大学工学部学部長。工学博士。都市建築史・建築芸術学を専門とする。1984年、東京大学工学部建築学科卒業、91年、東京大学大学院博士課程修了。広島国際大学教授などを経て、22年現在、現職。

 

取材・文/鷺島鈴香 画像提供/奈良女子大学工学部