児童養護施設の守山学園(滋賀県守山市・定員30名)では、家庭的な関わりを大切に31人の子どもたちの生活を支えています。昨年の冬には、クラウドファンディングで寄付を募り、新園舎が完成。谷村 太(たにむら・ふとし)園長に、子どもを取り巻く社会の課題について語っていただきました。
「お母さんが弟を…!」低学年の姉が通報
── 児童養護施設に入所する子どもたちについて、今はまだあまり世の中に知られていないけれど課題だと思うことはありますか?
谷村園長:入所する子どもの高年齢化が見られます。2016年からの国の方針では、まず「子育ては家庭で」を前提に、何か課題がある場合はその家庭に介入して支援し、それでも難しければ里親家庭に子どもを預ける…という流れで、家庭を意識した養育を目指しています。
幼い子どもはなるべく里親のもとで育てられるように国をあげて働きかけているのですが、なかなかうまくいかない。結果として、その状態のまま大きくなった子たちが児童養護施設に入所する場合が増えています。
幼児でも、親御さんが入所に納得していない場合、里親の家に押しかけ、子どもを連れ戻そうとするような場合もあります。ですので、幼児は、職員が多く安全性の高い児童養護施設で預かることになっています。つまり今、児童養護施設にいる幼児はそれなりに深刻な状況なんです。
虐待などで児童養護施設に入所した子の親から、「これから子どもを連れて帰る」と連絡が来ることもあります。