子どもの習い事で外せない「たったひとつのルール」

── 子どもの習い事で、スイミングはいちばん人気です。寺川さんのお子さんも、水泳を習っていらっしゃるそうですね。

 

寺川さん:はい。長女が4歳のときに「水泳を習いたい」と言ってきたので、スイミングスクールに通わせています。つい最近、下の子も同じスクールで水泳を習い始めたところです。

 

── 水泳のほかには、何か習い事をされていますか?

 

寺川さん:長女はチアダンスと英語、あとは習字教室に通っています。下の子はまだ4歳になったばかりなので、今は水泳だけです。

 

うちでは「習い事はすべて自分発信」がルール。「これがいいんじゃない?」と親から勧めることはしません。

 

長女は好奇心が旺盛でさらに習い事をやりたいみたいですが、これ以上、増やすと今度は遊ぶ時間がなくなるので葛藤があるみたい(笑)。

 

全国を飛び回り子どもたちにも水泳を教えている

── お子さんなりにバランスを考えているのですね。習い事について、お子さんと決めていることはありますか?

 

寺川さん:子どもには「やりたいと思うことはトライしてみたらいいよ。その代わり、うまくできないとか少し嫌なことがあったから、やめるのはなしだよ。それでも習いたいことなら、ママは応援するからね」と約束しています。

 

おかげで、いまのところ「やめたい」とか「行きたくない」と言い出したことはなく、長続きしていますね。

 

── 意志が強いのもママ譲りでしょうか。

 

寺川さん:頑固なだけかもしれません(笑)。ただ、過去に1回だけ、強制的にやめさせたことがありました。

 

── 理由はなんだったのでしょう?

 

寺川さん:あるとき、先生の話を聞かずにボールで遊んでいたことがあったんです。あとから注意をしましたが、その後も改善の様子が見られませんでした。

 

「“自分でやりたい”と決意をして始めたことなのに、それだと約束と違うよね?」と伝え、やめさせました。指導してくださる先生にも失礼になりますし。

 

私自身、いろんな場所で水泳のレッスンをやらせていただいていますが、帰るときに「来てよかったな」と思ってもらえるように、毎回、力を尽くします。

 

教える立場で考えると、こちらが話しているときにそれを無視して遊んで、周りの子の風紀まで乱すのは、厳しいものがあります。

 

子どもだからといって、自分で決めたことに責任を持てなかったり、ルールを守らずに迷惑をかけることはダメだと理解してもらうために、そうした場面では厳しく叱るようにしています。

 

味噌作りに挑戦したことをインスタグラムで報告

── 最近は、厳しく叱るママは少なくなっている気がします。叱り方は難しいものですが、基準が明確だと子どもにとって理不尽さがなく、納得感がありますね。

 

寺川さん:ある程度の年齢になってきて、自分の言ったことや決めたことに責任を持つことは、人間として大事なことだと思うので。

 

口うるさく伝えていますね。そういう意味では、私は子どもにとって怖いママかもしれません(笑)。

 

PROFILE 寺川綾さん

1984年生まれ、大阪府出身。3歳で水泳を始める。近畿大学卒業後、ミズノに入社。2012年、ロンドン五輪100メートル背泳ぎで日本新記録を出し、銅メダルを獲得。2013年に現役を卒業。現在はスポーツキャスターをはじめ、多方面で活躍。

 

取材・文/西尾英子 画像提供/スポーツビズ