長らく水泳界を引っ張ってきた寺川綾さん。現在はキャスターの仕事などをしながら2人の子どもを育てています。「長女も次女もスイミングに夢中!」と聞くと、水泳に熱心なことを想像しがちですが、そこには“競技者”だったからこその子育て論があるようです。
子どもの成長には「頑張って」よりも大事な言葉がある
── 現在、8歳と4歳になる女の子がいらっしゃるそうですね。ご夫婦ともに(夫は元競泳日本代表・細川大輔さん)トップアスリートだと、お子さんもそのDNAが受け継がれているのかなと、勝手な想像をしてしまいます。
寺川さん:どうでしょう(笑)。とくに運動神経がいいと感じたことはないのですが、性格的な部分では2人とも負けん気がすごく強くて、親の気質を受け継いでいるなと思います。
── どういった場面でそう感じますか?
寺川さん:以前、長女が運動会で負けたとき、周りの子たちはみんなケロッとしているのに、ひとりだけ悔し泣きをしていたり。
この間は「学校の放送係になりたいから、どういう工夫をしたら選ばれるのかを教えて?」と聞いてきました。
負けず嫌いで、目指すものに向かって勝ち上がっていきたい意欲が強いなあと感じます。
下の子も、お姉ちゃんにできて自分ができないことがあると、すごく悔しそうにしていますね。
── 向上心が強いのですね。勝負にこだわるアスリートの気質が受け継がれているのでしょうか。
寺川さん:そうかもしれないです。ただ、私自身は、子どもに気合いを入れて「頑張って!」と口にすること自体、ほとんどありません。
できれば、何事も“自分発信”で楽しんでやるのがいちばんいいと思っているので、なにかをやろうとしているときは、「自分が楽しくなる工夫をしてみようね」と伝えるようにしています。
── 素敵な声かけですね。自分で考えるきっかけにもなりそうです。そうした考えは、ご自分の経験からくるものでしょうか?
寺川さん:私自身、競技で自発的に取り組んでいるときと、周りからやらされているなと感じるときでは、大きな違いがあると感じていました。
自分で目的を持って楽しみながらできていれば、モチベーションも高いし、充実している場面が多かった。だから、子どもたちにも、そうあってほしいなあと思っています。
親として、子どもがやりたいことを楽しみながら自由にできる環境をつくり、できる限りのサポートをしていきたいですね。