大人が抱えやすいモヤモヤについて、臨床心理士の八木経弥さんにお話を伺いました。今回は、義母や義姉の気遣いにより夫の実家になじめず気疲れすると悩む女性の相談にお答えします。

 

「年末年始の夫の実家…居場所がなくて気疲れ【心理士に聞く】」P1
「年末年始の夫の実家…居場所がなくて気疲れ【心理士に聞く】」P1

【Q】小姑と義母のいる台所…夫の実家に居場所がない

いつも年末年始は夫の実家に帰省します。夫は上に2人の姉がいる末っ子長男。それぞれ一家で帰省するのでにぎやかになります。でも小姑2人と義母がいると、嫁である私のやることがなく、とても居心地が悪いです。

 

私は何年経ってもお客さま扱いで、洗濯も掃除も台所も手伝おうとすると「いいから座っててね」と言われます。お正月準備の台所は親子3人水入らず、忙しそうにしています。毎回勇気を出して「何か手伝うことありますか」と言ってみるのですが、「大丈夫だよ。ゆっくりしてて」と言われます。

 

優しさから出る言葉なのでしょうが、手持ち無沙汰と申し訳なさでいつも気疲れしてしまいます。結婚10年でも義母や義姉からすると他人なのかな、と寂しい気持ちもあります。毎年お正月が近づくと気が重くなるのですが、なにか良い打開策はあるでしょうか。

気持ちが伝わる言葉で“お客さんの壁”を取り払う

相談者さんは、ご主人の実家がいやじゃないんですね。「いや」ではなくて、「寂しい」という気持ちになれるところが、すてきだなって思います。きっとご主人のお母さんやお姉さんたちとも仲がいいのでしょう。関係性は悪くない。だからこそ、もう一歩進んで家族に入りたいという気持ちを抱えているのかなと感じます。

 

きっと、お母さんたちからすると“いいお嫁さん”なんだと思うんです。だから「大丈夫だよ。ゆっくりしてて」と気を遣いたくなるのでしょう。相談者さんの「もう10年も経つので“お客さん”から“家族”になりたい」という気持ちを伝えるには、言い方を変えて伝えるといいかもしれません。心理学でよく用いられる「私」を主語にして伝えるコミュニケーション「I(アイ)メッセージ」を意識すると、さわやかに気持ちが伝わります。

 

たとえば、「何か手伝うことありますか」の言い方を「わたし、手伝いたいです」に変えるのです。

 

こうやって気持ち自体が伝わる言葉を選ぶと、相手に届きやすいです。

 

きっと、お母さんもどのタイミングで娘扱いしていいのか、お姉さんたちはいつから妹扱いしていいのか難しいと感じていると思うんです。同居ではないので、きっかけがつかみにくいですよね。なので相談者さんが自分から“お客さんの壁”を取り払ってみるのがいいと思います。


     
相談者さんは、「手持ち無沙汰と申し訳なさでいつも気疲れしちゃう」と悩んでいらっしゃるようですが、その気持ちも言っちゃってみてはどうでしょうか。

 

「何もしていないと手持ち無沙汰で居心地がよくなくて…。わたし、何かお手伝いしているほうが楽なんで、ぜひお手伝いさせてください」

 

と、このように伝えます。これまでの関係性からして、嫌味っぽくは伝わらないはずです。

 

小道具でエプロンやゴム手袋を持参するのもいいかもしれませんね。