座長の重圧はあるけれど「この仕事が好きすぎる」
── 座長経験があり、苦労してきた人たちほど協力してくれるものなんですね。今年で座長6年目の酒井さんには、貫禄すら感じます。
酒井さん:
いやいや、本当はもっと余裕を持たなければいけないのでしょうが、「よっしゃ、座長にまかせろ!」とは到底言えません。
すべらないか、お客さんは入るか、コロナ禍で高齢者も多いけど座員の体調は万全か、落ち込んでいる座員はいないか、6年目でも毎日ビビりまくりのドキドキです。
課題もまだまだ多いです。もっと一人ひとりの性格や個性を把握して、その人の良さが活きる役をやってもらいたい。
そのためには、もっと丁寧にコミュニケーションして相手を理解しないと。
もちろん1対1で話す時間を持つよう心がけていますし、「誰がどんな性格で、いま何を考えているか」を知ろうと、ふだんの会話も遠くから耳をすませていますが、たりてない。
座長を背負うからには、“新喜劇を好きなだけじゃダメ”と考えこんだ時期もありました。でも、なんだかんだ言っても、やっぱり新喜劇が“好きで好きでたまらない”んです。
舞台を終えて座員が「楽しかった」と言ってくれるのが、座長としていちばん報われる瞬間です。
PROFILE 酒井藍さん
奈良県出身。2007年、奈良県警(事務)勤務を経て、吉本新喜劇「第3個目金の卵オーディション」合格。2017年、30歳で吉本新喜劇初の女性座長に就任。柔道二段。
取材・文/岡本聡子 画像提供/吉本興業株式会社、酒井藍