美術館や博物館に行きたいけれど、小さな子どもと一緒に行くのはハードルが高い…。そんな方に向けてミュージアムコラムニストのNaomiさんに、おすすめの展覧会の選び方や訪れるタイミングについて伺いました。事前に知っておくだけで、親子で気兼ねなくミュージアムを楽しめるはずです。

 

Naomiさんイチ押しの千葉市美術館では親子でアート制作できる場所も(撮影/須崎隆善)

子どもとゆったり楽しむなら「常設展」が穴場

── 先日ベビーカーで1歳のわが子と都内の美術館に行ったところ、鑑賞途中でグズり出してハラハラしました…。やはり小さい子どもとミュージアムに行くのは、躊躇する方も少なくないのではと思います。

 

Naomiさん:
たしかにお子さんと一緒なら、気を配ることがたくさんありますよね。でもミュージアムの種類や行く時期をちょっと工夫してみると、子どもも大人もストレスなく楽しめるはず。

 

まず、私が親子で行く展覧会としておすすめするのは「常設展」です。

 

──「常設展」ですか?

 

Naomiさん:
はい。じつは展覧会には主に2つの種類があるんです。ひとつは「企画展」、もうひとつは「常設展」です。

 

── 普段どちらに足を運んでいるのか、意識したことがなかったです。

 

Naomiさん:
そうですよね。おそらくみなさんが「展覧会」と聞いてイメージするのは「企画展」だと思います。これは、「特別展」「巡回展」と呼ばれるものも含みます。

 

「企画展」は、ひとつのテーマに沿って、そのミュージアムの収蔵品以外にも、国内外から作品を集めて展示します。

 

そのため、ふだんお目にかかれない有名な作品が見られることも。ただし、メディアで大々的に宣伝されることが多く、会場が混雑しやすいんです。

 

── たしかに以前、海外の有名画家の展覧会があったとき、入口に長蛇の列ができていた記憶が…。

 

Naomiさん:
そうそう、それはおそらく「企画展」ですね。でも、子どもと行くなら「常設展」が穴場です。

 

「常設展」は美術館や博物館が所属している品が展示されるもので、「コレクション展」と呼ばれることも。おすすめの理由は、次の3つです。

 

・会場が混雑しにくい

・展示の見応えがある

・お財布にもやさしい

 

「企画展」に人が集中しやすいぶん、「常設展」は比較的空いていることが多いんです。ですから、子どもとゆったり鑑賞するのに向いていると思います。

 

── それはありがたいです!でも、なんとなく企画展のほうがおもしろいのでは、というイメージが…。

 

Naomiさん:
いえいえ。たしかに「常設展」というと、年中同じ作品が並べてあるだけと思う方もいるかもしれませんが、そんなことはありませんよ。

 

「企画展」と同様に、学芸員の方が定期的にテーマを立てて、それに沿った作品をコレクションの中から選んだり入れ替えたりして展示をするミュージアムがたくさんあります。

 

そして、その館ごとの個性が光る展示が楽しめます。とくに都内は、お宝作品を収蔵するミュージアムも多数。

 

たとえば、東京国立博物館の「総合文化展」と呼ばれる常設展は、国宝や重要文化財を含めた品が膨大にあり、しっかり観ようと思えば1日いてもたりないくらいです。

 

さらに、チケット代もお手頃。企画展に比べておよそ半額、もしくはワンコイン以下で観られることもあるんですよ。