世の中には5人に1人という割合でHSC(Highly Sensitive Child)と呼ばれる繊細な子どもが存在するそう。思慮深く、人の気持ちに敏感で、刺激に疲弊しやすいという特徴があります。そんなHSCの繊細さはこれからの時代を生き抜くのに重要な力だと言います。『一生幸せなHSCの育て方』(時事通信社)の著者である公認心理師の杉本景子さんに教えていただきました。

刺激に敏感な子はHSCの可能性も

── HSCかどうかを見分けるにはどうしたらいいのでしょうか。

 

杉本さん:
特に見分けなきゃいけないものではないですが、人にとても気をつかう子、感覚が鋭い、暑さ、寒さに弱い、思慮深い、という特徴がわかりやすいでしょうね。刺激に敏感なのはわかりやすい特徴だと思います。

 

── HSCの保護者からの相談を受けているそうですね。

 

杉本さん:
HSCのことで悩み、深刻な表情で訪れる保護者の方がたくさんいらっしゃいます。なかには子どものこと以外の悩みも抱え、心身ともに消耗しつくしている方もいらっしゃいます。

 

まず、私は「見つめるべきは、お子さんではなく、ご自身のことです」と伝えます。お子さんは疲れきったお父さん、お母さんを見て、何もできない自分のせいと感じて、苦しんでいるかもしれません、と。

 

親の気持ちを読み取ることに長けている子どもたち(イメージ)

HSCは親の心情や置かれている状況を非常に敏感に読み取るんですね。親が幸せを感じているとぐんぐん成長していきます。逆に親がストレスを感じていると、敏感に察して心を痛めます。ときには体調に影響するほどです。

 

HSCにとって、親の幸せと自分の幸せは表裏一体。まず親が心穏やかであることが大事です。

 

​​── まず保護者が心穏やかになる必要があるんですね。その後、どう接したらいいでしょう。

 

杉本さん:
親がHSCの良さを心から理解し、「そのまま伸びればいい」と子どものことを誇りに思っていれば、必ずそれは日々の態度や言葉から伝わっていきます。

 

ただ、注意が必要なのは、自分はこの子のことはすべてわかっているという思い込みです。たっぷり愛情を注ぎつつ、子どもをひとりの人間として尊重するよう意識してください。