世の中には5人に1人という割合で存在すると言われるHSC(Highly Sensitive Child)。思慮深く、人の気持ちに敏感で、刺激に疲弊しやすい繊細な子どもが存在するそうです。そんなHSCにとって「スパルタ教育」は悪影響しかないと言います。『一生幸せなHSCの育て方』(時事通信社)の著者である公認心理師の杉本景子さんに教えていただきました。

スパルタ教育とHSCは相性が悪い

── HSCの子を育てる保護者が周囲から「失敗しなければ成長しない」と言われ、悩まれることがあるそうですね。

 

杉本さん:
子どもの言動を尊重してきた親御さんが、周囲から「甘すぎる」と言われ、自分が過保護ではないかと悩まれているケースがありました。しかし、HSCの子に対して厳しく当たる、いわゆる「スパルタ教育」は絶対にダメです。

 

HSCは結果をひどく責められることがなくても、失敗すると自分を「情けない」と感じてしまいます。さらに、親や周囲の人に、迷惑をかけていると感じ、その気持ちが消えるまでに、ときには何年もかかることがあるのです。

過度なストレスがない状態で伸びる

── 失敗体験をしなくてもいいのでしょうか。

 

杉本さん:
失敗体験をすべて回避することはできませんから、あえて失敗させる必要はありません。HSCは成功体験を積むことで、さらに努力を重ねることができ、どんどん成長していきます。

 

厳しくしないと伸びないと思う必要はまったくありません。よく「失敗の積み重ねが成長につながる」と言いますが、それはHSCではない大人の論理です。HSCは、過度なストレスがない状態が整ってさえいれば、自分で伸びていく子どもたちです。

 

失敗して泣く子のイメージ写真

もし、HSCの子どもが失敗しそうになっていたら、成功するための準備をぜひ手助けしてあげてください。これは過干渉ではありません。自分の子どもを信じて、安心して成長できる環境を整えてあげてください。