「バレエと笑いの融合」私にしかできないことでしょ?

── バレエからお笑いへまったく異なる世界に飛び込んだ理由がよくわかりました。新喜劇でも回転や開脚などのバレエネタを披露されていますが、バレエとお笑いの相性はいかがでしょう?

 

松浦さん:
正直に言うと、新喜劇の舞台ではバレエの動きは異質な存在です。話の流れになじみにくい部分もありまして。

 

私としては、逆にバレエに笑いの要素を取り入れてみたいですね。新喜劇で学んだ舞台づくりや笑いを活かして、バレエと笑いを融合させた作品を作って、踊ってみたい。

 

新喜劇舞台でバレエネタをきめる松浦さん。お笑いの舞台はバレエシューズに対応していないため足元は必ずスニーカー

── 作品を作るとは?

 

松浦さん:
バレエって、知識を持っている人がお行儀よく楽しむもの、みたいなイメージありませんか?

 

これはクラシック全般にいえる風潮だと思いますが、初めて観る方に「退屈させないから、絶対観てね!」とはおすすめしづらい…。

 

もっとテンポよく進んで、クスッと笑える要素があって、客席が一緒に盛り上がれる作品があってもいいと思うんです。

 

2022年夏には清里シルフィードバレエにキューピッド役で出演「憧れのバレリーナたちと共演できました」

もちろん、バレエは高尚であるべきという意見があることも承知しています。でも、いろんな作品があってもっとファンの裾野が広がればいいいなぁ、と。

 

笑いは年を取ってからもできますが、キレよく踊れるのはいましかない。私も出演者として踊りたいので、早いうちに実現したいです。

 

── 振付や演出も、ということですよね。バレエと笑いを愛する松浦さんだからこそできる取り組みかも。

 

松浦さん:
私のアイデンティティは芸人。バレリーナではない。だからこそバレエに対する思いこみやプライドから自由なので、客観的な立場で創作できる強みがあります。

 

生の舞台ってその場の空気感が違って、やっぱり最高です!テレビスターが、また劇場に戻りたくなるのがよくわかります。芸人や子どもたちと一緒に、生の舞台を作るのもいいなぁ。

 

私自身、“バレエやめたい”、“もうイヤ”と悩んだことがあるので、バレエを習う子どもたちが夢を持てる作品にしたいとワクワクしてます。

 

母と姉に囲まれて、かわいがられて育った松浦さん(中央)

──「子どもが夢を持てる作品」って素敵ですね。最後に、お母さまは芸人になった娘をどう思っているのでしょうか?バレエを勧めたのもお母さま、新喜劇オーディションへの背中を押したのも、お母さまですよね。

 

松浦さん:
母は協力してくれていますよ。バレエのときと同じテンションで、応援しすぎっていうか(笑)。

 

私の仕事を全部観て、動画やSNSのコメント欄もめっちゃチェック。「あんた、あれちょっとあかんのとちゃう?」「やりすぎは禁物やで」など、メッセージが送られてきます。

 

私も社会人なので聞くべきところは聞く、後はまぁ適当に…(笑)。いまでもたくさん言い合いはしますが、家族に全力応援してもらえるのはありがたいですね。

 

PROFILE 松浦景子さん

兵庫県出身。大阪芸術大学 舞踊コース出身。2015年吉本新喜劇入団、全国クラシックバレエコンクール優勝。YouTube『けっけちゃんねる』を運営。2021年に書籍化。バレエブランド展開等多方面で活動。

 

取材・文/岡本聡子、画像提供/吉本興業株式会社、松浦景子