「誰も見たことがない“バレエと笑い”の融合を作れるのは私だけじゃないかと思って!」。バレエ芸人として、いま注目を浴びる松浦景子さん。挫折したバレエを消化するのは苦しいはずなのに、いまの仕事に活かそうなんて発想が大胆!そんなワクワクするような話を松浦さんは話し始めました。
コンプレックスに悩むより武器を磨くのが大切
── お母さまに導かれ、年間数十回のコンクールに出場するなどバレエ漬けの子ども時代を送った松浦さん。身長にコンプレックスを感じていたそうですが、どのように乗り越えられたのですか?
松浦さん:
152cmの身長では、当時、日本で活動するには低いと思っていました。身長やバランス・スタイル的にコンクールでも不利でしたが、なんとかギリギリ評価につながったのは"表現力"のおかげでした。
表現力を磨くために上手な人の演技を徹底的に研究し、自分の踊りに取り入れる。そして自分の演技を録画して見直すことを繰り返す。表情が豊かすぎて、“顔サー”(ダンサーではなくガンサー)と呼ばれたことも(笑)。
よいところを自分なりに工夫して伸ばすことで、コンプレックスから目を遠ざけました。誰にも真似できない個性に自信をもち、強い気持ちでコンクールに臨めたのもよかったですね。
── コンクールでは緊張しませんでしたか?大舞台で実力を出しきるのは本当に難しいですよね。
松浦さん:
もちろん緊張はしますが、私自身は「記録でなく、記憶に残る踊りを」、「舞台の空気変えたろか」の気合いで。
コンクールの朝、母からは「きれいに踊るより、爪痕残しておいで」と言われ、演技力にたけた宝塚の娘役のビデオを見せられました。
── お母さま、金言くださいますね!バレエで得た表現力やコンクールでつちかった度胸は、お笑いでも活きていますか?
松浦さん:
もちろん活きてます!でも、芸人の表現力もすごいです。
バレエは、「バレエが好きで、わざわざ観にきた観客」が相手ですが、芸人は「お笑いに興味のない、道行く人」を立ちどまらせる力量が求められます。度胸も表現力も、徹底しているわけで。