子連れ出勤で女性の自信を取り戻したかった
── 今では多様な働き方も浸透してきていますが、当時は珍しかったと思います。子育て中の人を積極的に雇用し、子連れ出勤を認めたのはなぜでしょう。
光畑さん:
組織に多様な人材がいることで、企業文化が成熟して、それが商品やサービスによい影響をもたらすと考えているからです。
でも、それ以上に、当時の私は「子育てをしていると、何もできない」という女性自身のマインドを変えたいという思いが一番強かったように思います。
子連れで活動することで私自身も「ここまでできる」と自信を取り戻せたし、その姿を見せることで、この思いを他のママにも伝えていきたいと思っていました。
もちろん、急なお休みに対応できるだけの余裕を持たせた体制づくりなどは必要です。みんな小さく、少しずつ働く。1人当たりの負担を少なくして、誰かの子どもが熱を出しても交代要員はいる。二重三重に保険をかけていました。そういう意味で経営はたいへんです。
モーハウスが目指すのは、単純なお金儲けではありません。社会貢献も重視しているのです。
PROFILE 光畑由佳さん
有限会社モーハウス代表。筑波大学非常勤講師、東京大学大学院学際情報学府客員研究員、慶應義塾大学SDM研究員(幸福学)。(株)パルコでの美術企画、建築関係の編集者を経て、1997年、授乳服の製作を開始。モーハウスを立ち上げ、子連れ出勤制度を整えた。
取材・文/鷺島鈴香 画像提供/光畑由佳