保護者が明るくなってきた
── トーキョーコーヒーに通っている子どもたちはどのように変わってきていますか。
阿野さん:
8月に始まったばかりで「学校行こう」という変化はないけれど、そこに注目してないんですね。学校に戻そうともしていないので。学校は行っても行かなくてもいいよと言ってやっているので、学校に戻るのがいい道とはしていないです。ただ、お子さんたちはみんな楽しそうに活動に参加していますね。
保護者はご自身の生きがいを見つけたように頑張っていらっしゃる方が多いです。ご自身が不登校の我が子に悩んでいて、行き詰まって、どうしようと思っていた方が、トーキョーコーヒーに関わって、他の子どもや保護者とともに子どもの居場所づくりを通して学校教育を変えていくためのムーブメントに参加しているという感覚を得て、明るく、活動的になってきたと思います。
トーキョーコーヒーは、一見すると、子どもの場所ではないので、子どもを中心に見ていないのです。子どもは参加したければするけれど、やりなさいと押しつけもしないし、リラックスしている様子があります。集合写真をとっても子どもも寝そべってリラックスしている様子で、安心して楽しんでくれているんだなと思います。
ムーブメントを起こしたい
── 目指しているものはどのようなものでしょうか。
阿野さん:
まず安心して個性を伸ばせる場所を全国500か所つくりたいですね。大人自身が子育て、教育について話し合う場でもあるので、大人の教育に対する考え方もアップデートされます。
さらに、トーキョーコーヒー全体の目標としては、活動が広がり、教育に対する意識の変わった大人が増えていくことで、日本の教育を本気で変えていこうというムーブメントをつくりたいです。
学校が今は偏差値重視だけど、学校によって、いろんな学校があっていいし、それぞれ自分の個性を伸ばせるような教育があってもいいと思います。子どもが居場所と感じられて、多様性を持って存在できる状態になればと思っています。
究極、学校に行っても行かなくてもいいし、すべての子どもが安心して成長し学べる教育システムに変えていきたいですね。
取材・文/天野佳代子 写真提供/トーキョーコーヒー