あおり運転被害で慌てないために大事な「保険の特約」

── それでも危険な目にあうこともあります。万が一あおられた場合、どう対処すればいいですか?

 

鬼沢さん:
まずは無視することですね。あおられからといって、あおり返すのは火に油を注ぐ行為。やり過ごすのも処世術と心得るべきです。

 

相手のあおりがおさまらず、身の危険を感じた場合には警察に通報してください。

 

その際、ドライブレコーダーの記録が証拠となります。実際、証拠活用の例が増えていて、適正な処罰につながります。

 

── あおり運転による事故の被害者となったら、自動車保険で補償されますか?

 

鬼沢さん:
基本的に相手側(加害者)の自動車保険の補償は使えません。運転者の故意による事故は補償の適用外となるからです。

 

自身(被害者)が加入する自動車保険は補償内容の範囲内で損害が補償されます。

 

あおり運転に備え、自動車保険の特約として「弁護士費用保険」を付加するのもひとつの手でしょう。

 

同保険は事故のトラブルを弁護士に依頼した場合の相談や訴訟にかかる費用をサポートしてもらえるもの。弁護士が間に入ることで慰謝料の増額も見込めます。

 

── あおり運転は危険な違反行為であり、巻き込まれたら事故に発展しかねません。警察や弁護士に頼るのは最終手段とし、相手にせず、やり過ごすのが賢明だとよくわかりました。

 

PROFILE 鬼沢健士さん

2009年、慶應義塾大学大学院法務研究科修了。10年、司法試験合格。12年、茨城県弁護士会に登録し、取手市に「じょうばん法律事務所」を開設。交通事故、労働問題(被用者側)、インターネット詐欺を中心に取扱う。

取材・文/百瀬康司 図版/アイル企画