「倍増」なら何に使ってほしい?子育て世代の声は
子供たちの声を聞くのは何より大切なことだと思います。
しかしやはり、その子供たちの夢や希望をできるだけ叶えていくためにも、実際に子育てを担うママやパパがリアルに感じている「ここにもっとお金をかけてくれたら…」という声も、有効な支援に直結するはず。
そこで、0〜18歳のお子さんがいる男女50人にアンケートを実施し、子ども予算=子育て予算と考えた場合、なにに使ってほしいかを聞いてみました。
「保育士さんや幼稚園の先生、学校の先生たちの給料を上げたり人数を増やしたりしてほしい。今よりホワイトな労働環境になればもっと人材が集まって待機児童も減ると思うし、先生たちも書類作りや消毒ではなく、もっと子供たちと向き合ったり、子供が夢中になれるおもしろい授業作りに時間がかけられると思う」(Kさん・小学校6年生と4年生のパパ)
「うちが3人きょうだいをあきらめて2人にした理由は教育費です。高校や大学で私立に行ったり、いい塾に通わせたら共働きでも3人は無理。お金を気にせずやりたいことができる進路を選んでね、と言ってあげたくて2人と決めました。もし公立と私立の学費の差額に予算を充てて同じくらいの負担額にしてくれれば、3人育てられるだろうなぁと思います」(Rさん・大学1年生と高校2年生のママ)
「育休中に周囲に業務のしわ寄せがいくので夫婦とも肩身が狭かったです。かといって代替人員を採用する余裕も会社になく…。代替人員の人件費やカバーする同僚のボーナス制度などに予算を使ってくれれば、みんなもっと育休を取りやすくなると思う」(Hさん・2歳児のママ)
「本当は欧米のように、子供が小さい時期は夫婦とも早く帰れて子供の病気で休んでも白い目で見られず、それでいて子供がいても出世の足枷にならない…そんな職場ばかりになるのが一番ですよね。でもそれはお金でどうこうできないから(有名タレントにあちこちで宣伝してもらうくらいですかね?)、せめて家事代行費用や、時短になる家電の購入クーポンを継続的に配るのはどうかな」(Mさん・5歳児と2歳児のママ)
子育て中のママやパパたちは、単に「現金を配ってほしい」とか「出産一時金を増額してほしい」といった内容ではなく、総合的に安心して子育てできる、子供が育っていける社会づくりにお金を使ってほしい…そう考えていることが伝わってきます。
おわりに
子育て中は本当に忙しい毎日。選挙に行くのが精一杯で、もし「もっと予算をここに使ってくれたら助かる」と思っても、行政や政治へ声を届けることまでは難しいですよね。
そう考えると、今回の「予算倍増へ」は喜ばしいニュースだといえます。
とはいえ、首相の発言をよく見ると、
「○○年に子ども予算の倍増が決定しました」
ではなく
「将来的な予算の倍増を目指していく道筋をぜひ示していきたい」
なので、期待するのはまだ早い…というところかもしれません。
また使い道などの詳細が報じられたときは、改めてお伝えしたいと思います。
文/高谷みえこ
参考/令和4年度第⼆次補正予算(案)こども関連予算の概要(参考資料)https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kodomo_seisaku_suishin/pdf/r4_yosan_sankou.pdf
書籍『人口戦略法案 人口減少を止める方策はあるのか』山崎 史郎 著/日本経済新聞出版NHK「日曜討論」https://www.nhk.jp/p/touron/ts/GG149Z2M64/
厚生労働省「人口動態統計速報(令和4年8月分)」https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/s2022/08.html