年末年始のお酒が進む時期にぴったりのおつまみ菓子「瀬戸内れもん味イカ天」。さっぱりとしたレモン味とパステルカラーのパッケージデザインが若い女性の心を掴み、累計販売数2000万食(2021年時点)を達成するまでに!その背景には、一体どんなドラマがあったのでしょうか。女性の心をくすぐる商品を次々と生み出す、まるか食品株式会社のデザイン室・松枝さんに開発の裏側を聞きました。

期間限定商品が女性のあと押しで人気商品に

──「瀬戸内れもん味イカ天」が発売されたときの様子を教えてください。

 

松枝さん:
当社は、昭和36年創業以来、長年お酒のおつまみとして親しまれてきた「イカ天」を製造していました。ところが当時は売上が下降気味。そのため、2代目社長が就任した際、売上アップを狙って新商品やリニューアル商品を毎月出すことにしたんです。

 

商品開発に奮闘するなか、広島県の特産である「生産量日本一のレモンを使って商品は作れませんか?」と農協から打診されたのがきっかけで、レモン風味のイカ天作りに取り組み始めました。

 

そして、2013年夏に3か月の期間限定で、「酸っぱいシリーズ」と題し「レモン」「梅」「ビネガー」の3種類を同時に販売したのが始まりです。

 

── はじめは期間限定の商品だったんですね。

 

松枝さん:
そうです。ところが、地元のお取引先から「レモン味はやめないで」という依頼が続いて。聞けば、広島県に旅行に来る若い女性の方がお土産に「瀬戸内れもん味イカ天」を購入されると。それには驚きましたね。

 

実は、社内の男性陣は私も含め「レモン味のイカ天って本当に売れるの?」と半信半疑だったからです(笑)。一方、社内の女性陣からは「レモン味はさわやかで美味しい」と好評でした。

 

ちなみに、我が社には「れもん味」以外にも「瀬戸内すだち味のり天」もあり、そちらも人気です。社外でもアンケートをとってみたことがあるのですが、男性は「すだち味」派が多く、女性は、圧倒的に「れもん味」派が多かったです。不思議です(笑)。

 

半信半疑で商品を出した私たちでしたが、お取引先の方々の言葉に背中を押される形で、れもん味を期間限定ではなくレギュラー商品にして売り出すことに。そのタイミングで今の商品の形に全面リニューアルしました。