生活空間のあらゆる場所に存在し、アレルギーの原因となるダニ。思わぬ場所がダニの温床となっている可能性があります。ダニを増やさないためには、どこに注目し、どんな対策をすべきなのでしょうか?50年以上ダニ研究を続け、アレルギー症状軽減のための調査・指導を行っている医学博士・髙岡正敏先生にお話を聞きました(全3回中の2回)。

共働きやひとり住まいの世帯はダニが増えやすい傾向が

── 室内にはダニの温床となるものが多く、ちりやほこりといったハウスダストなど「排除しきれない」要素がたくさんあります。

 

髙岡先生:
たとえばフローリングの溝が2㎜あるとします。ダニの視点で見ると、ご家庭の天井くらいの高さのスペースがある状態。そこにちりやほこりなどのゴミ、いわゆるエサとなるものがあれば、十分生きていけるんです。

 

ハウスダストだけでなく、寝具類やカーペットなどの繊維類をはじめ、食品など注意すべきポイントは多くあります。人間の住空間にはダニが好む環境が多く、完全に排除して生活することはほぼ不可能です。

 

カーペットに寝転ぶ子どもと母親

── 細かな溝に至るまで徹底して清潔を保つのは、なかなか難しいです。

 

髙岡先生:
そこまでやるのは無理ですよね。だからこそダニが増えやすい条件や場所などを理解して、増やさないための対策や増えにくい環境をつくることが大切だと思います。

 

ダニが好むのはハウスダストなど、エサになるものが多いことがひとつですが、湿度が高く温かい環境も重要です。閉めきった部屋は空気がこもりやすく、湿度が高くなります。

 

単身者世帯や共働きで日中は人がいないご家庭は、閉めきっている時間が長く、ダニが増えやすい傾向があります。帰宅後に掃除や通気・換気をして空気清浄機を活用すると、閉めきった状態を続けるよりダニの増殖を抑えることができます。

 

炭などの吸放湿素材を部屋に置いて除湿対策をするなど、ライフスタイルを大きく変えずに無理なく続けられることをひとつずつ実践して、ダニが増えないようにしましょう。