乳がんの検診をおこなうためのマンモグラフィー。胸を板に挟むため「痛い」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。そんななか、新しくMRIを活用した痛くない乳がん検診手法「ドゥイブス・サーチ」を東海大学工学部の高原太郎教授が開発しました。

 

笑顔で話す高原先生

痛みがなく、精密にがんを調べられる

── 痛くない乳がん検診とは具体的にどんなものなのでしょう。

 

高原先生:
もともと乳がん検診の手法としては、マンモグラフィーとエコーが多いのですが、精密検査として25年前からMRIもありました。しかし、造影剤が必要で、検診には向いていませんでした。その後、脳梗塞の早期発見に役立つ「拡散強調画像」を改良した結果、がんを造影剤なしのMRIで映し出せる方法を確立しました。それがドゥイブス法です。

 

MRIの機械に検査着を着たまま寝ていただければ、多少の操作音はうるさいかもしれませんが、痛みもなく、検査着を来たまま裸を見られずに検査できます。

 

ドゥイブス・サーチを受ける様子

── 現在は乳がん検診は、自治体がマンモグラフィーの無料クーポンなど配布されていますね。

 

高原先生:
マンモグラフィーの検診は、自治体が無料で行っている対策型検診というもので、これはとても価値のあるものです。マンモグラフィーがだめだからMRIをとは全く思っていません。

 

ただ、実際、マンモグラフィーで乳癌が見つかる確率が1000人に3〜5人です。受診している方のグループが違うので直接比較はできませんが、「無痛MRI乳がん検診」では1000人中20人ぐらい見つかっているので、高精度で見つけやすいとは言えるのではないでしょうか。

 

マンモグラフィーとドゥイブス・サーチでのがんの見え方の違いの写真

ただし、費用は自治体の無料検診と異なり、MRIは2万円近くかかるのですが、マンモグラフィーは痛みが伴うので嫌だと言う方や、家族に乳がんになった人がいるため心配な方、しこりがあると感じている方などは、無痛MRI乳がん検診が役立つ可能性が高いです。