兄や姉といった斜めの関係がなく、頼れるのは保護者しかいない一人っ子。最近、保護者も子どもを頼り、もっと言えば依存している「共依存」が増えたと進学塾VAMOS代表の富永雄輔さんは話します。『ひとりっ子の学力の伸ばし方』(ダイヤモンド社)の著者でもある富永さんに、親子共依存の傾向と対策について伺いました。

いつまでも子ども中心の生活

最近、子どもに合わせて、自分のライフスタイルを変える保護者が増えているように感じています。

 

小さい子どもではなく、高校生や大学生、社会人の子どもの話です。

 

たとえば、子どもの留学についていく人。大学進学で東京で一人暮らしをする子どもと一緒に自分も引っ越してしまう人。

 

特に一人っ子の場合、保護者はお金と労力をかけられるので、そうしたことが起こりやすいのかと思います。

 

兆しは、小学高学年ごろから感じています。よく「この子は私がいないと何もできない」という保護者がいます。わが子をケアしたい善意からくるものなのでしょうが、「何もできない」扱いを受けている子は、自己評価が低く、いつまでたっても何もできるようになりません。すると保護者は「ほら、やっぱり」と世話を焼いてしまう。

 

「自覚なき共依存を防ぐには 」P1

この状態が長く続けば、子どもは保護者がいないと不安になり、自分の考えで物事を判断できない大人になってしまいます。

 

実は世話を焼くことで、保護者は自分の価値を見出す依存状態に陥っている場合があります。懸命に世話を焼くことで、子どものヒエラルキーが自分のヒエラルキーのように感じ、子どもの成績が上がれば自分が偉くなったように感じ、下がれば自分が否定されたような気になってしまう。

 

多くの保護者は「よかれ」と思ってやっています。そこに「共依存」の片鱗がないか、一度立ち止まって考えて欲しいと思います。