今や、子どもがいる家庭のうち20%を占めるという一人っ子。きょうだいに揉まれる経験がなく、不条理への耐性がない子も増えているといいます。一人っ子が、勉強、スポーツ、受験に折れない心で立ち向かうにはどうすればいい?進学塾VAMOS代表で、『ひとりっ子の学力の伸ばし方』(ダイヤモンド社)の著書もある富永雄輔さんに、一人っ子の「たくましさ」の育て方について聞きました。

たくましさは負ける経験で作られる

好きなお菓子をお兄ちゃんに食べられてしまった。ブロックを組み立てていたら、妹に壊されてしまった。

 

兄弟姉妹がいる家では、理由なく横取りされたり、壊されたり、自分が悪くないのに叱られたり。そういった不条理をたくさん経験します。

 

それでも、経験を重ねるうちに「本気で意地悪をしているわけじゃないんだな」とか「しょうがないか」など、うまく自分のなかで気持ちを切り替えられるようになります。

 

一人っ子はそうした経験がなく、しかも家庭にいるのは保護者である大人ですから、察してもらったり、自分中心に物事が進むのに慣れています。

 

そのため、外部からの刺激に耐性がなく、必要以上に反応して落ち込んでしまうことがあります。

「たくましい一人っ子を育むには」P1

そうした子が、勉強、スポーツ、受験などで悔しい思いをしたとき、へこたれずに気持ちを切り替え、乗り越えるにはどうすればいいか。

 

私の答えは、ひとつ。勝負する経験、特に負けを知ることです。

 

人は、負けた経験から勝つことを覚えていきます。「勝ちグセ」という言葉がありますが、これはけっして負けてこなかったという意味ではありません。それまでに多くの勝負をし、失敗から学んできたことを意味しています。

 

とはいえ、打たれ弱い子にいきなり大きな失敗をさせるのも危険です。まだあまりセンシティブではない10歳頃までに、小さな失敗をたくさん経験させて耐性をつけてあげましょう。

 

友だちと体を使った遊びで勝負するとか、その子が興味を示す身近なことで構いません。

 

「毎朝10分、計算問題を解く」でもいい。計算問題でも継続すれば、勝つ(できた)経験も、負ける(できなかった)経験も積むことができます。