わが子を愛おしく思うたびに感じた懐かしさの正体は…

忙しい毎日も気づけば冬となり、少しずつ子育てに余裕ができてきたある日。えんどうさんは再び、以前感じたツンと鼻をつく懐かしさを感じました。

 

えんどうさんが娘に優しく声をかける瞬間、脳裏に浮かんだのは「幼かったえんどうさんに、両親が優しく声をかけてくれた」思い出でした。

 

このとき、えんどうさんは気づきました。懐かしい感情の正体は「自分が誰かに対して感じたもの」ではなく、「幼かった自分に対して、両親が感じていたもの」だったのです。

 

娘に対して与える側だった自分が、娘を通じて与えられる側だったころを思い出し、えんどうさんは自然と娘に感謝したくなったそう。

 

今の自分のように、愛おしい気持ちで娘の寝顔を眺めていた両親の想いを、幼き日の両親からの優しさを、見守る側の立場となったことでそのありがたみとともに気づけたのでした。

娘の成長を見守れるありがたさ

「私たちから娘に与えられる感動はだんだんと減っていきますが、感動を手にする手助けはまだまだできるかなと思っています。きっとこの先、娘は私たちの手の届かないところでもいろいろな経験を積んでいくのだと思いますが、親の立場として見守ることのありがたみを知れた今、可能な限りその瞬間を見届けられたらと思っています」

 

わが子への愛は、自分も親から与えてもらったであろう大切なもの。そのありがたさを身をもって理解する瞬間が訪れたとき、えんどうさんのように自身のあたたかな気持ちに気づけるのかもしれませんね。

 

取材・文/可児純奈