グレーな子は「縦」で成長を褒める

── 森中さん自身も、お子さんを「グレーかも?」と感じているところだそうですね。

 

森中さん:
小1の次男は、最近学校でちょっと難しい場面が増えています。担任の先生が学期の途中で交代して、クラスの雰囲気が変わったせいか、教室に入れなくなってしまったんですね。

 

2学期に入り、1学期のころにはなかった授業中の立ち歩きや、マイペースな行動なんかもチラホラ出てくるようになり、今は学校側と相談しながら様子を見ている最中です。

 

こうして話せるのは、ADHDの長男の子育てを通じ、発達障害について猛勉強したこともありますが、周囲の理解のおかげでもあると思います。

 

満開の桜の下でポーズする息子さんたち

── わが子がグレーゾーンかもと悩む保護者に、子育てをしていく上でのアドバイスをお願いします。

 

森中さん:
お子さんの成長を横で比べず、縦で比べていきましょう。

 

「◯◯くんはできているのに、何でできないの」「もう◯年生なのに」といった「横」の軸で子どもを比べて見る考え方では、誰も幸せになれません。

 

そうではなく、その子自身の過去と今の違いを見つけて、「あのときはできなかったけど今はできるようになったね」と「縦」の成長を見つけてください。本人が当たり前にできていることでも、積極的に褒めポイントを見つけて本気で褒めましょう。

 

「去年より5cmも背が伸びたね」「靴のサイズがこんなに大きくなったね」と体の成長を褒めるだけでもいい。

 

「生きづらさ」をそのまま持ち越して成長すると、大人になってもそれがどんどん膨らんでしまう場合が多いんです。そこからうつ病などの二次障害が引き起こされることもある。

 

目の前のわが子をまっすぐに見て、小さな自信を育ててあげてください。親の行動が変われば、子どもの態度も必ず変わっていきますから。

 

明るい表情の森中さんと息子さんたち

PROFILE 森中博子さん

小児科専門医。小4、小1の兄弟を育てる母。長男が5歳のときにADHDと診断されたことをきっかけに、発達障害・グレーゾーンの子育てに悩む保護者をサポートする発達科学コミュニケーショントレーナーとして活動を開始。親子の未来を創る発達診断「ママカルテ」主宰。熊本県在住。

 

取材・文/阿部花恵