力を抜いている状態でずっと変わらないスタンダードをつくりたい

── お店のことでやってきたことがお店の中だけではなく町に次々と繋がって交流を生んでいるんですね。濱田さんの今後の地域活動の展望について教えてください。

 

濱田さん:
力を抜いている状態で、ずっと変わらないスタンダードをつくるということでしょうか。流行っているトレンドのものには興味がないんです。カフェのメニューもプリンとか、子どもからおじいちゃんおばあちゃんまでみんなが好きなものばかり。

 

カフェで提供しているプリン

ずっと変わらずに淡々と続いていく状態を見たいので、トレンドには飛びつかず、これはスタンダードになりそうだなという新しい日常をつくっていきたい。それが自分のこだわりかもしれません。

 

たとえば僕は再利用することが好きで再利用できるものを無料提供する「もらってマーケット」を開いています。再利用というと、環境問題とかSDGsとか社会的な問題に結びづけられがちなんですけど。

 

もらってマーケットの様子

SDGsなどがトレンドじゃなくて普通のことでありたいと考えています。そういうスタンスが現れているイベントだと感じるので「もらってマーケット」を気に入っているんです。

 

ものの循環って当たり前だと思っていて、人の出入りがあるようなお店なら、ものを循環したい人たちの真ん中に入ってあげると便利なんじゃないかなと思っています。

 

ランドリーを利用している人の様子

ヘアサロンなのでオシャレさも必要だとは思うのですが、それだけじゃなくて、「しょうゆ貸して」みたいな感覚でつながるそんな場所でこれからもありたいです。

 

 

商店街に本屋さんと出版社をつくったり、親が子どもの作品を絶賛して展示する「親バカ展」を開催したりなど、楽しんで地域活動を広げる濱田さん。取材中も新たなアイデアや展望が次々と飛び出す展開になりました。ヘアサロンが地域の人と人を結びつけるハブとして機能する、新たな可能性をみたように思いました。

 

取材・文/渡部直子 写真提供/濱田健太さん