兵庫県高砂市にある「ヘアサロンハル」は、ヘアサロンとコインランドリー、そしてカフェを併設したことで、地域の方が自然と集まる場所になっています。2019年には第4回国際コインランドリーEXPOで最優秀賞を受賞し、大きな注目を集めました。ヘアサロンとしてだけでなく、コインランドリーとして、カフェとして、さまざまな入り口から地域住民が集まる「ヘアサロンハル」の狙いとは。店主の濱田健太さんに、地域のハブとして機能する「ヘアサロンハル」についてお話を伺いました。
コインランドリーとカフェが併設されたヘアサロン
──「ヘアサロンハル」はコインランドリーを併設するヘアサロンとして話題ですが、カフェも併設されているとお聞きしました。カフェはどのような経緯でつくられたのでしょうか。
濱田さん:
今から14~15年前に、父親から家業のヘアサロンを継ぐために地元である兵庫県高砂市に帰ってきたのですが、ヘアサロンのお客様は家族みんなで来店される方が多くて。すると、お連れ様がカットし終わるのを誰かがずっと待っているんです。そこですぐにカフェをつくろうと思いました。
カフェってすごく便利で、ギャラリーとして絵などの作品を展示できたり、洋服を販売したりなど、自分の好きなことを発表する場として活用できるんです。家族を待っている間に絵を見たり、商品を手にとったり、さらに描いている人やつくっている人が同じ地域に住む人だったら、繋がりがどんどんできていくようで面白いなと思いまして。帰ってきて1年ぐらいでカフェをつくり、ずっと運営してきました。
その後コインランドリーを併設するときも、それほどハードルが高くなかったように思います。ヘアサロンでカットしている間や、カフェでランチやお茶している間にコインランドリーで洗濯を済ませる方など、さまざまな入り口から地域の方に利用していただいています。
── 実際に、地域の方がヘアサロンに併設されているカフェを自己実現の場として活用されているのでしょうか。
濱田さん:
はい。そしてカフェを場として活用される方は、ヘアサロンのお客様でもあるんです。ヘアサロンでカットをしながら地域の方と話をしていると、どんな方でもだいたい何か特技を持っていてびっくりします。
手芸や絵画などを趣味としてやっていると言われる方が多いので、気軽に見せてもらったら素敵だったし面白くて。お客様に「カフェで展示会を開きませんか?」と僕からお願いして、毎月誰かの作品の展示やお店を開いていました。
あるとき、もっと広く募集をかけてみたところ、意外と地域にはたくさんのアーティストに近い方がいらっしゃることがわかったんです。そのうち、地域のアーティストの作品を目的にカフェに来られるお客様も増えてきました。今までいらしたことがない方が気軽に来られるようなお店になったことが、とても大きかったです。
ヘアサロンってそれなりにお金がかかるので気軽には来ないと思うのですが、コーヒー1杯で気軽にみんなが集まってくれるようになったのはお店としてもいいPRにもなっています。