デジタル化によって、その存在意義が大きく変わろうとしている文具。小学生の頃から、40年以上に渡って大好きな文具を追い続けている「文具王」こと高畑正幸さんに、これまでの文具人生と、文具王が予測する文具の未来について伺いました。

 

「TVチャンピオン」で優勝した記録を持つ文具王
「TVチャンピオン」で優勝した記録を持つ文具王

「文具王」の原点とTVチャンピオンの優勝

──「文具王」として活動されるきっかけは何だったのですか。

 

高畑さん:
「文具王」と呼ばれるようになったのは、1999年にテレビ東京の番組「TVチャンピオン」の文房具通選手権で優勝してからです。

 

文房具好きは小学生の頃からで、中学生の頃には、友人と作っていた同人誌や学校の生徒会報などに文房具をテーマにした『すばらしき道具たち』というエッセイを書いていました。

 

小学校の頃は理科や図画工作が好きで、理科の授業中にしかけ絵本のような動くノートを作ったら、先生がおもしろがって褒めてくださったことを覚えています。

 

大学時代には、文具をテーマにしたホームページを開設しました。

 

当時、幕張メッセで開催されていた文具見本市へ通って、出展していた文具メーカーさんに文具エッセイをまとめたコピー本を配って回っていたら、「ホームページを作ったらどうだ」と勧められたんです。

 

そのホームページが「TVチャンピオン」のスタッフの方の目に留まり、番組出演につながりました。

 

そのとき決勝に残っていた方のなかに、文具メーカー「サンスター文具」の企画部長がいらっしゃったんです。楽屋でいろいろと質問をされて答えたことが、そのまま採用面接のような感じになり、入社が決まりました。入社してからはその方の下で文房具の商品作りを学びました。

 

入社後も、個人としての活動は続けていました。文具の実演販売の仕事などは有休を使ってやっていたのですが、会社の規定内ではできないことも増えてきて。

 

すると当時の副社長が、社員ではなくプロ契約という形で出社日数を減らして、個人の活動をもっと自由にやってみてはどうかと提案してくれました。「文具王がいるというのは会社にもメリットになるし、万が一失敗しても家賃は払えるだろう」と。ありがたかったです。

 

その後、以前に手帳などの開発で関わった「バリューイノベーション」という、独創的な財布やカバンなどを手がけるメーカーの社長に声を掛けていただいて、そこで、文具王として仕事をしています。