甘くて美味しいチョコレート。一方で原料となるカカオの産地では子どもたちに収穫などの労働をさせる「児童労働」が問題視されています。チョコレート菓子「ブラックサンダー」で知られる有楽製菓は、2025年までに調達するすべてのカカオ原料を児童労働撤廃に取り組むものへ変更することを発表しました。一方でチョコレート製品の値上げは見送る方針です。チョコレートのカカオ収穫現場での児童労働の実態と、値上げをせずにどのように切り替えていくのか、担当者に教えていただきました。

 

ザクザク食感が人気なブラックサンダー

過酷な児童労働の実態

── まずは、チョコレートの原料となるカカオの生産地での児童労働の実態について教えてくださいますか。

 

担当者:
弊社からも支援させていただいているNGO・ACE(エース)様のホームページから紹介させていただきますね。

 

たとえば、アフリカのガーナで暮らす15歳の少年は、7歳の時に父を亡くし、家族を支えるため、9歳からカカオ農園で働き始めたそうです。朝5時、誰よりも早く農園に行き、カカオを収穫し、集め、運びます。カカオは頭に乗せて運びますが、とても重くて、頭から首、背中、腰、脚まで全身が痛くなるそうです。

 

── 過酷な状況ですね。どうして児童労働の課題に今、取り組もうと思われたのでしょうか。

 

担当者:
2018年末頃、弊社の会長である河合伴治が、カカオ農園での児童労働の実情を知り、非常に悲しい問題であるという認識をしました。子どもの笑顔を生むチョコレートというお菓子が、子どもの笑顔を搾取した原料から作られているという事実を知り、自社商品を児童労働に配慮したものへ切り替える検討を始めました。

 

── ブラックサンダーは切り替えが済んだとのことですが、原料はどこから調達しているのですか?

 

担当者:
ブラックサンダーに使用する仕入原料を「児童労働撤廃に取り組む、人権に配慮されたカカオ原料」へ切り替えました。

 

具体的には、「カカオ・ホライズン」、「サステイナブル・オリジン」など、児童労働がない環境で育てられたカカオでできたことを示す「サステイナブルプログラム認証」のある原料を主に使用しています。

 

河合辰信代表取締役社長が児童労働撤廃に取り組むカカオ農園を視察している様子

── 有楽製菓では他にも、児童労働撤廃に向け「スマイルカカオプロジェクト」を実施されていると聞きました。これはどんな取り組みですか?

 

担当者:
弊社が仕入れる「児童労働撤廃に取り組む、人権に配慮されたカカオ原料」は支援金を加えて通常より高く購入することで、カカオ産地の課題を改善する活動を支援しております。

 

微力ではありますが、ブラックサンダーを購入すると、子どもたちや自然を守る自立した農村作りに繋がる仕組みになっており、そのプロジェクト名称です。

 

これに加えて、ガーナのカカオ生産地で児童労働の撤廃に取り組む、NPO法人ACEの「スマイル・ガーナプロジェクト」への支援も行っています。