叱りながらも「めっちゃかわいい」

── 一般的には、母親があれこれ口うるさく言ういっぽう、父親は細かいことは言わない、というケースが多いと思います。子育てするうえで、夫婦での役割分担はありますか?

 

中尾さん:
うちの妻は、全然細かくないですからね(笑)。むしろわが家は妻のほうが、基本「自由でいいんだよ」スタイルで。

 

どちらかというと、僕のほうが「宿題やったの?」とか、細かく言うかもしれません。

 

── じゃあ子どもが悪いことをして「お父さんに叱ってもらわなきゃ!」みたいな場合は、「お母さんに叱られる」パターンですか?

 

中尾さん:
そこは、そういうわけじゃないんですよ。先日、学校で友達とケンカして、妻が先生から話を聞いたんです。そのときに妻が息子に「お父さんが帰ってきたら、自分の口から話しなさい」と言ったら、「頼むから、パパには言わないで」と泣きつかれたらしくて(笑)。

 

僕に対してどこか、“ママにはない怖さ”みたいなものがあるとわかりました。それがいいか悪いかはわからないし、正解もわからないけれど。ただ、そのときは「パパに叱られるよりは、ママに叱られるほうがいい」と思っているんだな…と。

 

中尾明慶さん
「子どもは“ママにはない怖さ”を感じているみたいです」と話す中尾さん

── それはもう、先ほどの「理想の父親像」が実現できているということでは?

 

中尾さん:
どうなんですかね?ただ、僕らは普通の人より、演技力というのもあるから(笑)。

 

たとえば息子がいたずらをしたとします。「よし!これは叱らないと…」みたいなとき、“怖い父ちゃん”を演じるじゃないけど、あえて怒ってみせる。そういう調整は、普通のお父さんよりちょっと上手かもしれません。演出とかも(笑)。

 

だってやっぱり、かわいいですもん。叱っていても、泣いていても。叱っているけど、もうひとりの僕は「別にここまで、叱らなくてもいいんだけどな」と思ってる(笑)。内心では「めっちゃ泣いてて、かわいいな」とかって、思っているときもあります。

 

だけど親としては「ここはちゃんと叱らなきゃ」という面もあるし、なかなか難しいですよね。

 

中尾明慶さん
「(子育ての)正解はわからない」と口にする表情に、真っすぐな人柄がにじみ出る