いじめは乗り越えるもの?

穏やかに平穏に暮らしたいだけなのに

── 学校生活のなかで、ひとりでいるのは勇気がいることのようにも思います。「仕返しをしよう」と思う人もいるかもしれませんが、川村さんはどう考えましたか?

 

川村さん:
そんな選択肢もなかったですね。「放っておいてほしい」だけでした。ただ、巾着に悪口の紙を書いてきた子には、謝ってほしいと思いました。「これ書いたの、あなたですよね。謝ってほしいです」と直接言うと、相手も一瞬びっくりして「ごめんなさい」と言ってました。それからは、その人からのいじめはなくなりました。言ってみるものだなぁと。

 

── 当時、ご両親にお話はされたんでしょうか。

 

川村さん:
母には、小学校4年生のときにあるお誕生日会でうまくいかなくて、泣きながら帰ってきたときくらい。父親には何も。

 

── どうやって乗り越えた、とかはあるのでしょうか?

 

川村さん:
乗り越えたというより、事実として淡々と受け止めていたような感じです。それに、学校以外の時間に楽しみがあったというか。習いごとのピアノとか、水泳教室とか。水泳教室も、やっぱり真面目に通い続けていたら選手の選抜コースにも誘われたりして。

 

結果論ですけど、学校以外の趣味とか、気持ちの持っていき場があったのかもしれません。

  

PROFILE 川村エミコさん

かわむらえみこ。1979年生まれ。ピン芸人としてデビューし、2008年に白鳥久美子とお笑いコンビ・たんぽぽを結成。趣味はこけし集め、伝統こけしの目利きができる。著書に『わたしもかわいく生まれたかったな』がある。


取材・文/ふくだりょうこ 撮影/坂脇卓也