どんな仕事も性別や経験の差は関係ない

一般的に林業に携わるのは男性が多いイメージがあります。実際、東京チェンソーズでも飯塚さんが初の女性社員でした。

 

けれど飯塚さんは理系出身。学生時代から女性の少ない環境に慣れていたため、働き始めるときも、性別は意識しませんでした。

 

「もちろん、山の現場は自然が相手なので危険は多く、力仕事でもあります。

 

でも、私は男性より力がない自覚があるので力任せでできない分、道具や力の入れ方など、工夫して補おうと心がけていました。現場に出る日は体調も道具も準備を万全にしていました。

 

やりたい気持ちがあった上で、自分ができることにしっかり取り組めば、どんな仕事でも性別や経験の差によってできないことはないのかなと思います。

 

山の現場できこりとして働く以外にも、コンサルタント、製材の商品開発など、林業界で女性が活躍する場は増えつつある気がします」

 

現在は結婚し2児の母親となった飯塚さん。現場から離れ、営業や商品企画などに携わっています。

 

「木は1本1本苗木を植えて、周囲の草を刈り取り、余計な枝を落とし、手塩にかけて育てていくものです。きこりにとってはまさに我が子同然。

 

だから木の価値を引き出してあげたいし、その魅力をたくさんの人に伝えていくためにどうしたらいいか、模索する毎日です」


文/齋田多恵 撮影/新井加代子 写真提供(山中写真)/飯塚潤子