大人が抱えやすいモヤモヤについて、臨床心理士の八木経弥さんにお話を伺いました。今回は、実母といつもケンカになってしまうと悩む女性の相談にお答えします。
【Q】子育ての相談をすると、いつもダメ出しする実母。話を聞いてもらいたいだけなのに…
年子の小学生の息子2人の母親です。夫の転勤で馴染みのない街で暮らしているので、近くに頼れる友人や親戚はいません。兄弟ゲンカが絶えず、夏休みはもう限界状態に。そんな時、話相手になってもらいたいのは実家の母です。
ところが電話をするといつも「もっと厳しくしないから」と責められます。先日も「お母さんの子育ての時はそんなんじゃなかった」「悪いことした時にピシっと叩かないから」とうんざりするような答えが。結局ケンカになります。
母は3歳差姉妹を育てたことしかなく、わたしは年子の兄弟。この苦労の差を理解してくれず、それを言うと「そんなこと言うなら電話かけてこないで」と言われます。ただ話を聞いてほしいだけなのに…。どうすればよいでしょうか。
言葉をオブラートに包まないからケンカに
やんちゃ盛りの年子の兄弟、きっと毎日大変ですね。お母さんが相談者さんの子育てをダメ出しする、というお悩みですが、相談者さんの心の中にある「お母さんに認めてもらいたい」という強い思いを感じます。
年齢に関係なく、親子関係でそう思うのは当然です。
最近では「毒親」という言葉もありますが、母子関係というのは絆が強いことが多いです。意識こそしていないかもしれませんが、やっぱり一番自分を認めてほしいのは「お母さん」という人は多いのではないかと思います。
また、「娘と母」というのは、良くも悪くも対等関係になってしまうこともしばしば。実母だからこそケンカになる、ということもあると思います。
「同じことを義母から言われても腹が立たないのに、実母は腹が立つ」という経験をしたことがある人も少なくないかもしれません。遠慮がない分、お互い言葉や気持ちをオブラートに包むという作業をしないからだと考えられます。
あまり距離感が近過ぎる関係が続くと、相手の態度や言葉に期待しすぎるあまり、ケンカしやすくなる傾向にあります。実母とはいえ、相手の態度を変えることは難しいもの。それならば、こちら側の言動や行動を工夫する必要がありそうです。