親子の日常を描いた漫画をSNSで発信する漫画家の田辺ヒカリさん。働くママなら「あるある!」と思わずつぶやいてしまいそうな事件が起こり、自戒を込めて漫画にしたところ、多くの共感が寄せられました。忘れられない事件当時の状況と、育児と仕事の両立について聞きました。

仕事のことで頭がいっぱいで…やってはいけない失敗を

── 仕事に熱中していて幼稚園の参観日を忘れてしまった…というエピソードをSNSに投稿されていましたね。個人的に大変共感したのですが(笑)どういう状況だったのでしょうか。

 

田辺さん:
実はその日は、親子で野菜を植えたり、工作をしたりといったイベントがいくつか重なっていたんです。それらの参観前後のイベントがコロナで中止という連絡をもらって、参観自体も中止になったとすっかり勘違いしてしまって。

 

田辺ヒカリさんのイラスト
幼稚園の先生の電話の内容に思わず真っ青になった田辺さん

── コロナ禍ではスケジュールの変更もしょっちゅうで、大変ですよね。

 

田辺さん:
幼稚園から電話をいただいて、速攻で向かったんです。到着したら、ほかのお母さんやお父さんはいるのに、うちだけ誰も来ていないと娘が泣いていて。「本当にごめんね」って謝りましたが、そのとき保育士さんが「お客さんが来ていたんだって」とさりげなくフォローしてくれました。

 

もしも保育士さんがこちらを責めるようなことを言ったら、娘もきっと「自分は親に可哀想な目にあわされたんだ」って感じたと思うんです。だけど、保育士さんが機転を利かせてくれたおかげで、遅刻したけれど間に合ってよかったね、みたいななごやかな雰囲気になって。本当に助かりましたね。

 

── SNSではどんな声が寄せられましたか?

 

田辺さん:
お子さんが2人、3人いらっしゃるお母さんからしたら、「あるある」ネタみたいで(笑)。忙しいときは、こういうミスもよくあることなのかも…とはいえ、娘には悪いことをしたなあって。だから本当に自戒の念を込めて描いたんです。

 

── 共働き家庭だと保育園に預けるパターンが多いですが、最初から幼稚園に?

 

田辺さん:
最初は保育園で年中から幼稚園に変わりました。幼稚園のほうが家から近くて、その幼稚園に通っている子たちがそのまま隣の小学校に入学することもあり、早くお友達と馴染めたほうがいいかなと考えたんです。

 

── お迎えの時間が早い幼稚園に預けながら仕事をするのは大変ではないですか。

 

田辺さん:
そうですね…14時には帰ってくるので、仕事をしていると本当にあっという間です。預かり保育はあるのですが、それも16時までで。

 

根を詰めて仕事をしなければならないときは、娘を寝かしつけたあと、朝の4時まで作業を続けることもあります。7時過ぎまで仮眠をとって、娘を幼稚園に送る…という感じで。こうなると、かなりシンドいんですけど…。

田辺ヒカリさんのイラスト
「次回こそはもっと余裕を」と脱稿するたび心を引き締めるという田辺さん

── それはすごく大変そう…。とはいえ、子どもが起きているうちは仕事にならなかったりしますよね。「遊ぼうよ!」としつこく声を掛けてきたり。

 

田辺さん:
ストーリーを考えるネーム作業のときは、特に集中しないといけないので、子どもと一緒なんて絶対無理です。作画だけだったら、娘と話しながらでもなんとかなりますけど。

 

とはいえ、娘はもう年中なので、私が隣にいれば、ひとりでYouTubeを観たりして過ごすこともできるようになってきて。1時間程度なら、子どもと一緒に仕事をすることもできます。以前から比べれば、だいぶ楽になりましたね。

 

── 仕事が立て込んでいないときはどんなふうに過ごしていますか。

 

田辺さん:
仕事が落ち着いているときは、娘と一緒に21時半くらいに寝てしまうこともあります。やるときはやって、休むときはしっかり休むのが信条です。