義父が反応した「かっこいい」車椅子

同じような提案をして、その度に義父に拒否されることを繰り返していたある日、とある電動車椅子メーカーの広告が私の目に止まりました。

 

それはマットなシルバーを基調としたとてもスタイリッシュなデザインで、野暮ったさが全く感じられない素敵な車椅子でした。

 

隣に座っていた義父に、何の気なしに「今の電動車椅子はこんなにかっこいいのがあるんですね」と見せてみたところ、思いがけない反応が返ってきたのです。

 

今まで、介護用品には全く関心を向けなかった義父が「へぇー、これが車椅子なの?」と興味津々で私のPCの画面を覗き込み、機種のバリエーションまでじっくりと読み込み始めたのです。

 

そのときになってようやく私は悟りました。お年寄りだからって、幾つになったって、「年寄り扱い」されるのは嫌なものなんだ、よりかっこよく、おしゃれなものを使いたいんだと…。

 

よく考えてみれば、私自身だって高齢者になれば同じようなことを考えるに違いありません。最終的には介護用品を受け入れるしかないとしても、そこには「仕方ない」という諦めがあるに違いないのです。

 

個人差はあれど、誰だって自分の好きなデザインのものに囲まれて生きることを諦めたくはないに違いありません。

 

ようやくそれに気づいた時、「かっこいいかどうか」「素敵な、気分を上げるようなデザインかどうか」が介護用品選びの視点にも必要だ!とつくづく思い知らされました。

目指せ!かっこいい高齢者スタイル

そんなわけで最近の私はネットで「電動シルバーカー スタイリッシュ」やら「杖 かっこいい」やらでしきりに検索をしています。

 

まだまだ数は少ないものの、デザインにも気を配った商品がいくつかヒットして、その度に義父に「今はこんなにかっこいいのがあるんですね〜」とそれとなくアピールしています。

 

義父もまんざらではなさそうな様子で、この方向性は間違っていない…!とガッツポーズをする日々です。

 

ちなみに、杖の一本くらいは常備しておいたほうがいいのでは…と、デザイン面でも義父が気に入った一本を、「プレゼントしますから買っちゃいますか」と言ったところ…「えっ私に?いや、格好いいけどまだ杖は必要ないよ」とのこと。

 

デザインは気に入っても、いざ自分が使おうとするとそこはまだ抵抗のある様子。いつまでも微妙なお年頃の義父です。

 

いざ義父に本当に介護用具が必要になった時には、かっこいい高齢者スタイルの実現に最大限協力しますからね、と思っている同居嫁でした。


文/甘木サカヱ イラスト/ホリナルミ