ファミレスなどで夫婦や家族で過ごす外食の時間。美味しい料理を食べて、楽しいひとときのはずが…、一気に犯罪現場に。何が起きた?原因は?飲食店で罪に問われるのを防ぐための知識を、横山佳枝弁護士に教えてもらいました。

料理の持ち帰りは「注文の仕方」で罪になる?

——「お腹いっぱい。もう食べられない」。飲食店で食べきれなかった料理を前に、「もったいないから持ち帰ろう」と考える人もいるでしょう。これって問題ないですよね?

 

余った料理のイメージ

横山さん:
余った料理を持ち帰る行為は、窃盗罪(刑法235条)に該当する可能性があります。

 

ただし、その行為すべて該当するわけではありません。シチュエーションにより、罪に問われるかどうかが変わってくるのです。

 

—— 何げなくやってしまいがちな飲食店での料理の持ち帰り。料理の“持ち込み”も含めて、法律の見解を伺いたいと思います。

 

横山さん:
例えば、客が料理を注文し、注文した料理の提供を受けた場合、食べ残した料理を持ち帰ったとしても窃盗罪にはあたらないと考えます。

 

—— 飲食店で好きなものを注文して食べた場合ですね。

 

横山さん:
そうです。提供された料理の所有権はお客側に移転しますので、食べきれずに残しても、「いらない」と所有権を放棄しない限りは店側の占有にならないと考えられます。

 

そのため、他人の財物を窃取した者に科せられる窃盗罪は成立しないのです。

 

ただし、食中毒を防ぐために、店側が持ち帰りを禁止している場合もあります。

 

「持ち帰り不可」と掲示されているような場合は、客が残した料理の占有は店側にあると考えられます。店側のルールに反して持ち帰った場合には、窃盗罪が成立する可能性があります。

 

—— 食べ放題の料理はどう解釈すればいい?

 

横山さん:
食べ放題の場合、提供されている料理の占有は店側にあり、お客はその場で食べる権利だけを有すると考えられます。

 

したがって、食べ残した料理を持ち帰ることは、店側の占有物を奪う行為にあたるため、窃盗罪が成立する可能性があります。

 

しかし、食べ放題の店によっては持ち帰りのルールを定めているところもありますよね。店のルールに従えば持ち帰りはOKとなります。