沖縄渡航にパスポートが必要だった!?

沖縄の空2020年撮影

── 今年、沖縄復帰50周年ですね。

 

A-RAさん:
2022年5月15日で復帰50周年を迎えました。親世代の人たちから聞いたのは、県外に行くのにパスポートが必要だったり、車は右車線を走り、日本なのに通貨はドルだったそう。

 

沖縄がアメリカから日本に正式に返還されてからは、今度は同じ日本人で他県の人から「日本語を話せるのか」「県外に行くのにパスポート必要なんだって?」と揶揄されたこともあったといいます。沖縄の人たちは、いろんな葛藤を抱えて生きてきたんだなということを、僕たちも知らないといけない。

 

YUさん:
当時を知らない僕たちは、「そんなことがあったのか」くらいの気持ちで受け止めていて。でも、首里城の焼失で沖縄の歴史について調べていくうちに、自分たちの故郷なのに、知らないことがまだまだたくさんある。もっと沖縄のことを知る必要があると思うようになりました。

 

A-RAさん:
歴史を勉強しようと呼びかけても大半の人はしないと思います。僕らは歌手という立場もあって、歌を通じて沖縄の歴史を知るきっかけになれたらなと思っています。

 

首里城復興ソングの「SYURI NO UTA」もそうですし、沖縄本土復帰50周年で作った歌「515~結どぅ宝~」も、そんな気持ちで歌っています。音楽を通して、より広く、たくさんの人に沖縄の歴史や文化などについて知ってもらうきっかけになれば嬉しいです。

ケツメイシの大蔵さんが楽曲提供

── ところで、5th Elementsの「PARTY」という曲は、ケツメイシの大蔵さんが楽曲提供されたそうですね。

 

YUさん:
大蔵さんのラジオ番組に出させていただいたご縁もあり、手掛けていただきました。沖縄では夏になると家族や仲間と浜辺でワイワイバーベキューなどをやりますが、その「ビーチパーティ」をイメージして作った、ノリのいい曲です。

 

── ケツメイシのアルバムも、ここ何年も首里城で撮っていますよね。

 

YUさん:
首里城の瑞泉門下のところですね。去年リリースしたケツメイシのアルバムにも復興中の首里城が写っています。これはやはり彼らなりに思いがあるのだと思います。

 

A-RAさん:
沖縄の人は話していてとても温かいと言ってくれます。沖縄とは波長が合う、この場所が本当に好き、という話はよくされていますね。

 

沖縄というと海に注目が行きがちですが、沖縄は戦争を乗り越えた島でもあります。首里城や平和記念公園を始め、県内には歴史に触れる場所がいっぱいあります。沖縄についてより深く知ってもらい、好きになってもらえたら嬉しいです。

 

PROFILE  5th Elements

沖縄出身のボーカル2人組ボーカルグループ。首里城復興ソング「SHURI NO UTA」などを手掛ける。環境問題をテーマとしたmini album(2022年11月5日リリース)の売り上げの一部をサンゴ養殖に寄付する予定。

 

取材・文/間野由利子