世界遺産に登録されている沖縄のシンボル・首里城。2019年の火災の際は大々的にニュースになりましたが、その後どこまで修復できたのでしょうか。首里城復興ソング「SYURI NO UTA」を通してサポートする沖縄出身ボーカルグループ5th ElementsのA-RA(アーラ)さんとYU(ユウ)さんに、首里城の復興の様子を伺いました。
焦げ臭い匂いがして
── 2019年の首里城の火災から約3年。当時は、どんな感じだったのでしょうか?
A-RAさん:
首里城の火災が起きたのは、深夜2時くらいでした。僕らは、沖縄を拠点に音楽活動をしていますが、火災のあった日は全国ツアー中でたまたま東京にいました。朝、起きてテレビをつけたら首里城が燃えているのが見えて、頭が真っ白に…。
YUさん:
とにかく早く沖縄に帰って、自分の目で確かめたい気持ちでいっぱいでした。火災当初は、首里城のそばを通ると焦げ臭い匂いがして、ものすごい火事だったんだな、と実感しました。
── 首里城は、沖縄の人たちにとってどのような存在でしたか?
A-RAさん:
沖縄のシンボルです。首里城の創建は、14世紀頃といわれていて約450年の歴史があります。当時、沖縄は琉球王国と呼ばれ、中国との貿易が盛んだったことから、中国文化の影響も受けています。
首里城は、これまで4回火災にあっていて、今回で5回目。
僕ら沖縄の住民にとっては、「当たり前のようにそこにあるもの」だったんですが、焼失したことをきっかけに、改めて首里城の存在は大きかったと感じましたね。
首里城、現在の復興状況は…
── 首里城の完全復興は難しいといわれているようですね。
A-RAさん:
首里城は、特殊な作り方をしているんですよ。たとえば、赤瓦といわれる独特の瓦を使っているんですが、これを手掛ける職人の方がほとんどいなくて。
それもあって本来なら新しいものを用意して作り直すところを、火災で焼け残ったものをきれいにして改めて使う取り組みなどをしています。
この作業は、地元の人はもとより全国からボランティアの方々が活動に参加してサポートしてくれているんですよ。
── 首里城は今後、どのくらいの期間をかけて修復していくのでしょうか?
YUさん:
正殿起工が2022年11月3日、正殿完成は2026年を予定しています。その後、北殿と南殿の復元に取りかかる予定です。現在、首里城では見学デッキを設けて火災前の首里城正殿と、焼失の状況や復興途中の現在のことなど、写真つきですごくわかりやすく解説してあるから、勉強になりますよ。
A-RAさん:
本来なら首里城全体を立ち入り禁止にして復興作業するところですが、今回は復興過程も一部公開しています。沖縄に遊びに来た際には、首里城の復興の様子を実際に見てもらい、完成まで見守っていただけたら嬉しいです。
── A-RAさんは、首里城の復興ソング「SYURI NO UTA」の歌詞を手掛けたそうですね。
A-RAさん:
歌詞を担当しています。首里城火災のことを知った竜馬さんというバイオリニストの方が声をあげて、僕ら5th Elementsを始め6組のアーティストで「SYURI NO UTA」を歌っています。CDの売り上げの全額を首里城復興のために寄付をしました。
また次世代の子どもたちに歌い継いでほしいという思いから、地元の小学生が歌う合唱コンクールの曲としても「SYURI NO UTA」を歌っています。