漢字の「意味を考える」ためのサポートを
「排他的経済水域」についても、言葉の意味は知っているのだと思いますが、漢字一つひとつの意味を考えず、見た目で覚えて書いているので「排」と「俳」を間違えてしまうのでしょう。対応としては、「形として覚えたのはOKだけど、なぜこの字を使うのか意味も覚えておこうね」と声がけすることです。
「排他は、排除する、押しのけるという意味。手を使うから『排』だよ」と内容を教えてあげましょう。「排」のように小学校配当漢字ではないものは、あまり学校でていねいに意味を扱わないけれど社会科では出てくる漢字です。こうした漢字はとくに内容を補ってあげたほうがいいですね。
また、日頃から漢字辞典を使うようサポートしてあげましょう。新しい漢字が出てきたら、「どんな使われ方をするのか見ておこうか」と、ちょっとした確認を入れてあげるのです。
視覚タイプの子は、「何度も書きなさいと」と言われてやると単なる作業になってしまいがちで、考えることを止めてしまう可能性が高いことに注意してください。「一文字ずつ意味を漢字辞典で確認してから、2回だけでいいから集中して書いてごらん」といった声がけのほうが記憶に残りやすいでしょう。
また、おそらくお子さんは、「排他的経済水域」というひとまとまりとして言葉を覚えています。こうした言葉は「排他的」「経済」「水域」と3語でできていることを説明し、「分解して意味を考えようね」と教えてあげてください。
サポートしてあげるタイミングとしては、テストで間違った後ではなく、言葉を初めて覚えるときがよいと思います。お子さんが帰ってきたら、「今日、授業で難しい言葉は出てきた?」と声をかけましょう。
そのうち1つか2つだけでもいいので、「これってなんでこの漢字を使っているの?どういう意味なの?」と、聞いてあげてください。そうすれば、お子さんは「なるほど、この字の組み合わせだからこういう意味なのか」と納得できるようになっていくはずです。そんなふうに、日頃から漢字の組み合わせを気にする思考回路をつくってあげましょう。
お子さんが塾に通われているのであれば、そういった思考回路はより必要になります。小学校で扱う言葉であれば学校の先生が説明してくれることも多いですが、塾ではいちいち教えてくれないからです。
いずれにせよ、習う側が関心を持って学びに向き合うことは大切なことですので、お子さんのタイプに合ったサポートをしてあげてほしいと思います。
PROFILE 小川大介さん
教育家・見守る子育て研究所(R)所長。京大法卒。30年の中学受験指導と6000回の面談で培った洞察力と的確な助言により、幼児低学年からの能力育成、子育て支援で実績を重ねる。メディア出演・著書多数。Youtubeチャンネル「見守る子育て研究所」。
取材・構成/佐藤ちひろ ※写真はイメージです