日本海の沖合に浮かぶ島根県・隠岐諸島。自然豊かな島々のひとつ、中ノ島(海士町)は、本土からフェリーで3時間以上もかかる離島でありながら、都会から移住してくる人も多く、注目を集めています。島にある株式会社「風と土と」が新たに始めた出版事業を担う萩原亜沙美さんは2010年、25歳のときにリゾートバイトで海士町を訪れてからずっと海士町で暮らしています。結婚、出産、離婚を経て、島で出版事業をする理由とは。

地域の人が子育てしてくれる町

── 島にリゾートバイトで来られてからずっと住まわれているのですか。

 

萩原さん:
そうですね。リゾートバイトのつもりで来たら、町づくりの最先端を海士町はいっていて、「風と土と」に入ることでいろいろと学べるのではないかと思って、インターンを経て正社員になりました。島の人と結婚し、子どもを3人産んで、離婚したけれど、住み続けていますね。

 

後列左から2人目が萩原さん

── 居続ける理由とは何でしょう。

 

萩原さん:
私は大阪出身なのですが、すごく子育てがしやすい島だと実感しているのと、仕事がおもしろいと思って残っています。子どもたちを野放しにしてもいいというか。自然の中で自由に遊ばせたり、地域にママ友もいるし、家の周りの人も私たちのことを知っているので、誰かが子どもたちを見てくれています。

 

先日、小1の子が海に行くって水着で自転車こいでたら、一人きりだったのと海まで距離があるからって心配して会社に電話をくれた人もいて。私が会議中だったので、別の社員が様子を見に行ってくれたりしました。

 

恵まれた環境なんですよね。