タスクリストで「これならできる」気持ちを醸成
「これならやってもいい」「これならできる」という気持ちを作るお手伝いも、親御さんができることだと思います。
学校から帰ってきたら、「今日は何をやるの?」と、その日の宿題のタスクを具体的に認識させてあげましょう。宿題は何種類あるのか、国語であれば漢字と音読を何ページずつなのかなど、宿題の内容を箇条書きにして、どれなら一人でできるのか、どれが親御さんに手伝ってほしいものなのかなどを仕分けてタスクリストを作っていきます。
一通り書き出したらリスト全体を改めて一緒に見返して、どのタスクからやっていくのか、どこで休憩を入れるのか、親御さんには何時から手伝ってほしいのかなどをお子さんと一緒に詰めていきます。そうやって日々、タスクと段取りの計画を繰り返していくと、そのうち本人の中で「できるイメージ」ができ、「うるさいなあ、もう早くやらせてよ」なんて言うようになると思います。
いつまでもグズグズして勉強が進まない場合は、勉強を完了できる気がしないしんどい状態にあると捉えましょう。その際は、どのタスクに抵抗があるのかを聞き、ストレスを軽減できる工夫がないか一緒に考えてあげてください。
しかし、お子さんに合った勉強の工夫を凝らしていくには、まずはお子さんをしっかり理解することが大切です。ご相談者様はすでにお子さんの勉強の様子を近くでご覧になっているようですが、もう少しよく観察してあげてください。
どのような環境下なら意識が一点に向かい、安定して物事に取り組むのかという視点で観察していると、「この時間帯に気持ちが乗るようだ」「同じ学びでもビジュアル的に工夫すると食いつく」など、お子さんの心が動きやすい方向や学びの傾向が見えてくると思います。
どんな子にも、何かしら意欲がわいて頭が回転しやすい対象物や環境が必ずあるので、それをつかんだうえでサポートをしてあげてほしいと思います。
PROFILE 小川大介さん
教育家・見守る子育て研究所(R)所長。京大法卒。30年の中学受験指導と6000回の面談で培った洞察力と的確な助言により、幼児低学年からの能力育成、子育て支援で実績を重ねる。メディア出演・著書多数。Youtubeチャンネル「見守る子育て研究所」。
取材・構成/佐藤ちひろ ※写真はイメージです