机に向かってもなかなか勉強に取り組むことができないお子さんには、どのようなサポートが必要なのでしょうか。お子さんに「集中力がない」と感じている相談者に、教育家・見守る子育て研究所所長(R)の小川大介先生がアドバイスします。

【Q】集中力のない娘に集中力をつけさせるには?

小学5年生の女の子の母です。娘に集中力がなく困っています。

 

勉強しようと机に向かっても、視界に入った文房具やくしなどで遊び始めるなどして、なかなかエンジンがかかりません。そんな姿を見ていると、イライラしてしまい、つい「早く勉強しなさい」「集中しなさい」と言ってしまいます。

 

友人に勧められて、25分の作業と5分の休憩をする「ポモドーロ・テクニック」という時間管理術も試してみたのですがダメでした。集中力をつけさせるにはどうしたら良いでしょうか?また、そんな娘にどのように声がけをしたら良いでしょうか?

「できる気がする」という見通しが持てるサポートを

「エンジンがかからない」とおっしゃいますが、勉強をやるかどうかを決めるのは本人です。合わない時間管理術を「やりなさい」と言われても動かないのは当然です。

 

「ポモドーロ・テクニック」は米国で流行っていますが、これは多くのタスクをこなしたいという目的意識のある大人に有効なアプローチです。おそらくお子さんは、そもそも自分がこなしたいと思うタスクリストを持ち合わせていなかったのでしょう。

 

本人が「やろう!」と思うためのお手伝いをしてあげる必要があります。

 

まずは、学ぶための環境づくり。机に向かっても文房具などで遊び始めるとのことですから、視覚の刺激に影響されるタイプかと思われます。視界に余計なものを入れないよう、環境を整えてあげてください。

 

たとえば、筆箱の中のアイテムを整理し、さらに勉強するときには鉛筆と消しゴムなど最低限必要なものだけ出して筆箱はしまうこと。壁もプリントなどをごちゃごちゃ貼らずにスッキリさせましょう。

 

また、「やろう!」と思って勉強を始められる子というのは、学習における成功体験の蓄積が多く、「自分はやれる」という見通しがつくからすぐに取りかかることができるのです。おそらくご相談者様のお子さんは、その成功体験があまり蓄積されていないのではないかと思います。

 

だからお子さんの中に、「できる気がする」というイメージが生まれるよう手伝ってあげることが大切です。具体的には、勉強を始める前に「何時から取り組みたいか」「どれくらいの時間でやれそうな気がするか」などを聞き、お子さん自身が見通しを持てるようサポートしてあげてください。