茨城のちょっとたりない残念なところは?
── もったいない!反対に、茨城県でちょっとたりないなあと思う点はありますか?
青木さん:
2005年のつくばエクスプレスの開業で東京へのアクセスの良さから、終点のつくばはもちろん、沿線に人が集まりましたが、どうしても都心部と比べると公共交通機関は脆弱ですね。
自転車ブームが到来し、霞ヶ浦周辺には、近年、自転車で安全に走れる「りんりんロード」が整備され、自転車でも快適に移動できるようになりました。茨城人気に少なからず寄与したのではと思います。
ただ、やっぱり車がないと不便です。次に茨城の人口が爆発的に増えるとするなら、自動運転車が実現した時ではと個人的には予想しています。
── 移住を考えている人におすすめのエリアはどこでしょうか。
青木さん:
東京へのアクセスの良さで選ぶなら、つくばエクスプレス沿線のつくばや守谷ですね。終点の秋葉原駅まで、つくばから約45分、守谷から約35分で着きます。
茨城は教育県でもあり、お子さんのいるファミリー層にもこのエリアは人気です。つくば市は博士の数が全国1位ですし、茨城県は公立中高一貫校の数も全国1位で、校長を民間から公募するなど教育改革も進んでいます。
水戸市やひたちなか市も、便利なわりに人は多くないから暮らしやすいですし、もう少し田舎暮らしを楽しみたいなら、笠間市や石岡市はどうでしょう。「笠間焼」で知られる笠間市には、陶芸家などのアーティストがたくさん集まっています。
ちなみに、私の住む常総市は都心に近いわりにリアルな田舎を味わえます(笑)。
── 茨城の魅力をひとことで表すと?
青木さん:
茨城の方言で「いいやんべ」。いい塩梅、という意味で、まさに茨城の良さを表している言葉だと思います。
都心へのアクセスの良さ、恵まれた気候と豊かな自然、おいしい農産物に海産物、何でもいいやんべに揃っています。何でも持っているがゆえにすべてが中途半端な印象だった茨城県が、コロナ禍をきっかけに評価されてきたのではないでしょうか。
茨城の魅力をもっと知ってほしいと思う反面、それほど知られていないくらいが暮らすには「いいやんべ」なのかもしれないですね。
PROFILE 青木智也さん
1973年茨城県常総市生まれ。大学入学を機に上京し会社員になるも、都会の暮らしに疲れて2000年にUターン。茨城の魅力をユーモアたっぷりに発信するwebサイト「茨城王ーイバラキング」を運営する。2004年には『いばらぎじゃなくていばらき』を出版し、県内でベストセラーに。ご当地ラッパー「イバラッパー」としても活動している。
取材・文/林優子 写真提供/青木智也