「都道府県魅力度ランキング7年連続最下位」という不名誉な地位に甘んじてきた茨城県。今年、2014年以降初めて転入者が転出者を上回り、「転入超過」都道府県として初のトップ10入り。移住者数の伸び率では1位になりました。移住先として茨城の人気が高まった背景には何があったのか、茨城の魅力を発信する「茨城王(イバラキング)」こと青木智也さんに伺います。
7年連続最下位に、県民は「まさか!」
── 茨城県は今年、移住者数の伸び率がトップ、言い換えると「リアル移住ランキング」で1位を記録したそうですね。なかでもファミリー層に人気だとか。
青木さん:
そうなんです!いよいよ茨城の時代が来ましたね(笑)。
実は、これまでも「住み良さランキング」ではずっと上位にいたんです。東京から程よい距離に位置する茨城は、利便性が良く、生活コスパが良いことは以前から知られていました。でも「会社に行く」という物理的な拘束がネックになって、移住を躊躇させていたんですね。コロナ禍をきっかけに、テレワークが当たり前になり、場所に縛られる必要がなくなったのが、茨城がトップに躍り出た大きな理由のひとつだと思います。
茨城は、密を避けて自然を身近に感じながら暮らしたい人にはぴったりです。
県庁所在地の人口集積率が全国最下位で、キャンプ場の数は全国1位。あえて距離を保とうとしなくても距離が保ててしまう「ナチュラル・ソーシャルディスタンス」が可能なんですよね(笑)。土地も安く、家も広くて、住宅事情にも恵まれています。
──「都道府県魅力度ランキング7年連続最下位」という結果は、正直、どう受け止めていましたか。
青木さん:
最初に最下位になった時は県民としては「まさか!」という感じでした。みんな、上位ではなくても「真ん中くらいだっぺ」と油断していたと思いますね(笑)。
茨城は実際に暮らしやすいいいところなんです。ただ、あまりみんな自分たちのいいところをPRしないんですよね。でも、逆に最下位になったおかげで注目度が高まったのはよかったです。おかげで県としてもPRに力を入れるようになったと思います。
── いいところなのにPRがたりないというのは…?
青木さん:
土地柄でしょうね。よく言えば謙虚な人が多いというか。
茨城はもともと気候と土地に恵まれた農業県です。野菜や果物だけでなく、海産物も肉もおいしい豊かな土地です。そのわりに、有名なのは納豆くらい(笑)。
大都市に近いから、野菜も果物もブランド化してPRしなくてもよく売れるんです。茨城県はメロンの生産が日本一なのですが、北海道の夕張メロンのほうがずっと有名ですよね。
── その様子では、知られていないけれどいい観光スポットも…。
青木さん:
いっぱいあるんです!
筑波山は気軽なお散歩コースから険しい登山コースまでいろいろなコースがあって、幅広い年齢層の方が楽しめますし、日本で2番目に大きい湖・霞ヶ浦もあります。でも2番目って意外と知られていないので、湖岸線の長さ日本一と言ったりもしています(笑)。
大洗には海水浴やサーフィンが楽しめるビーチもありますし、ひたちなか市には、広大な土地に季節折々の花が咲く海浜公園があります。県北の沿岸部の景色はユネスコ有形・無形文化遺産に登録されているほどで、海の絶景を眺められる温泉もたくさんあります。
ただ1か所にまとまらずに点在しているから、結果どこもあまり知られていなくて、そういう意味では中途半端な感じは否めませんね…。