コロナ禍をきっかけに、登校できない子どもが増えています。2020年度の不登校の小中学生は、全国で19万人を超え、過去最多となりました。『「頼る」スキルの磨き方』の著者で、医師の吉田穂波さんは、そんな事態に胸を痛める保護者の一人。吉田さんに、中学3年間学校に通わなかった長女が海外留学を志望するまでの道のりを聞きました。

5月から登校しぶり、9月以降は完全不登校

── 吉田さんは、お子さんの不登校を経験されているそうですね。

 

吉田さん:
現在高校3年生の長女が、中学の3年間、学校に行かない選択をしていました。いまは公立の通信制高校に通っていて、アメリカ留学の準備をしているところです。

 

不登校のきっかけは、進学した中学で友達を作らなくてはと無理をしてしまったこと。周囲の友達に対しても「本心では違うことを思っているのでは」と疑心暗鬼にもなっていたと言います。

 

── お子さんは、吉田さんに相談されたりしましたか?

 

吉田さん:
いいえ。私たちは悩みがあったら相談してほしいと話しましたが、娘は「心配をかけたくない。わかってくれなかったら怖い」と思っていたようです。

 

中1のゴールデンウィーク明けから週2回の登校になり、「理由を聞かれるのが嫌」「目立つから嫌」と夏休み明けからはまったく学校に行かなくなりました。昼夜逆転して食事もまともに取らず、生活リズムはガタガタに。

 

その間、本人は下のきょうだいに負い目を感じたり、両親が自分のことで悩んでいる、と申し訳ない気持ちだったそうです。

本人なりに焦っていた

── 今の高校へはどういった経緯で入学したのですか?

 

吉田さん:
中3になって、本人の希望で塾に行き始めました。このままでは高校生になれない、と本人なりに焦っていたそうです。

 

ところが、勉強についていけず、すぐにリタイア。2年間勉強せず家にいたので当然なのですが、私としてはやはりショックでした。やる気が見えたことがとても嬉しく喜んでいたので、その分余計に落ち込みましたね。

 

ですが本人は諦めずに、自分で、ある通信制高校を見つけてきました。通信制というだけでなく、定時制の授業も受講できるなど選択肢が多かったのも決め手になったようです。

 

── 実際に通ってみてどうでしたか?

 

吉田さん:
いちばんよかったのは、通学が週1でいいという点でした。ずっと家にいた子にとって、毎朝起きて支度をして出かけるのはとてもハードルの高いこと。

 

月曜日から金曜日は今までと同じ家にいる生活、土曜日だけ通学して6時間授業と部活、という生活を送り、徐々に学校生活に慣れていきました。

 

最初は人との接し方がわからず戸惑ったそうですが、先生方がそうした元不登校児の対応に慣れていたおかげで、萎縮せずに済んだようです。

 

状況がさらに好転したのは、高2で「Self-Design Dialog」というキャリア教育を目的とした学生と大人のオンライン対話の場に参加してから。

 

学生同士のなごやかな交流を体験したこと、楽しそうに自分の経験を語る大人たちに出会ったこと、親を意識せず子ども個人として活躍できたことがよかったそうです。

 

家庭とも学校とも離れて自分らしくいられる第三の居場所や人々に恵まれ、積極的に一人旅など外出をするようになりました。高3からは毎日通学できるようになり、現在はアメリカに留学したいと話しています。