「女の人がやることはそんなにウケない」NSCに入った当初、今以上に男性社会だったという芸人の世界。劇場に行っても女性芸人は着替える場所も楽屋もなかった時代から、どのようにして存在感を増していったのでしょうか?

劇場で着替える場所がなかった

── 最近は女性芸人の数も増えてきましたが、鬼奴さんがデビューされた当時は、今とはまた違った環境だったのでしょうか?

 

椿鬼奴さん:私がNSCに入ったときは、生徒数が200人いたんですけど、女性は10人しかいませんでした。

 

特にオアシズさんの時代は肩身が狭くて大変だった、って聞きます。

 

── 20分の1…。本当に少ないんですね。

 

椿鬼奴さん:クラスがAとBに分かれるんですけど、私がいたクラスは女性は3人しかいなかったです。同期の森三中は別のクラスでしたが、やっぱり女の人がやることはそんなにウケない、と。生徒同士の中でも、そんなにおもしろいと思われてなかったんですよね。

 

それに、社員さんも男性社会だから、劇場に行っても女性が衣装を着替える場所も楽屋もないんですよ。

 

よく行っていた渋谷のシアターDという劇場は、もうトイレでしか着替えられませんでした。

 

── シアターDはものすごく狭い劇場ですよね。

 

椿鬼奴さん:狭いんですよ、本当に!今ってトイレはどこも綺麗だけど、そこは汚いから、どうやって衣装を床につけないようにするか、必死で着替えていたのをよく覚えてますね。

 

特にそのときはキャサリン・ゼタジョーンズさんの格好をしていたので、網タイツに七分丈のガードル履いて(笑)。めちゃくちゃ大変でした。