保護者アンケートによる学校満足度は80%
佐藤校長が意識しているのは、保護者の立場に立つこと。どんなときも丁寧な説明を怠りません。その姿勢が信頼関係を生み出して、周囲に人が集まってきます。
「たとえば運動会で、コロナの感染予防のために見学者の人数制限する場合、学校側が“見学者は、生徒1人につき保護者1名のみ”とひと言で伝えると、突き放されたようで、冷たく感じられるでしょう。
私は、なぜ1名なのか?を理解が得られるように説明しました。当時、生徒たちは感染予防のため、1メートルの感覚を空けるよう、国から指導されていました。
“生徒は約700名で1名あたりの専有面積が1平方メートル。校庭の広さを考えると、見学者2名分のスペースを確保するのは難しいです”、と具体的な根拠を示しながら伝えました。
保護者の方が思いがちな疑問点に向き合い、一つひとつ答えることで、納得していただいたと思います」
昨年、オンライン授業が始まったときも、授業の役割や実際の手順、保護者の注意点、学校が行うことまでを事細かに書いたプリントを作りました。
「保護者の方の立場に立ち、その時々の風を読み、先を見越してどんなことに心配や不安を抱くかを考え、気持ちに寄り添います。
その上で、学校側が行うことを示せば、信頼していただけると信じています」
保護者アンケートによる学校満足度は80%。それでも、佐藤校長は小さな不満の声も見逃しません。
「運動会後のアンケートのなかに、唯一“かなり不満”を選んだ方がいました。その理由は“仕事をしているから、行事が平日開催だと参加できない。フォローもなくて悲しい”とのことでした。
アンケートの集計結果には、あえてその否定的な意見も載せました。小さな声にも耳を傾け、今後の参考にすると姿勢を示すことで、学校は一人ひとりの立場を尊重しているとわかってもらえるはず。
私のモットーは“誰ひとりとり残さない”こと。これは、生徒や教員はもちろんですが、保護者や地域の方など、学校に関わる方すべてに当てはまります。
みんなで子どもたちを見守り、楽しく教育に携わっていけたらいいなと考えています」
文/齋田多恵 写真撮影/富本真之