宿題の本質は何か?「時代に沿った“苗木”を植えたい」

とはいえ、一般的に公立学校は保守的になりがちです。とくに、これまで続けてきたことをやめる場合、反対されることも。佐藤校長は、社会全体の流れを俯瞰することで、変化をうながします。

 

「先ほど例に挙げた“宿題を出さない日を作る”にしても、その部分のみに着目すると、“今まで問題がなかったのだから、やめる必要がない”などと言われがちです。

 

でも時代の流れとともに、学校も変化する必要があります。今の子どもたちには、自分の生き方を考え、人生をマネジメントする力が求められています。一方で、教師の働き方改革も大きな命題です。

 

こう考えると、教師にとっても生徒にとっても、毎日宿題に追われるのは時代に合わなくなってきているんです。

 

社会が将来どんな“森”を作ろうとしているかを考えると、“宿題を毎日出すかどうか”は “森”全体から見ればほんの一部分、“1本の木”にすぎません。

 

その“木”がすでに役割を終えているのであれば切り倒し、時代の流れにそった新しい苗木を植えたいと説明しています」

取材・文/齋田多恵 撮影/富本真之