1歳半の豪太の子どもはすでに200キロ越え!

── 豪太には相当大きな体重計が必要そうですね。

 

さん:
そうですね。一体どんな体重計になるのか、まだ想像がつきませんが、ホッキョクグマたちが使いやすい仕様にしたいと思っています。

 

当館には豪太のほかにも、メスのユキと豪太とユキの子どものフブキがいます。フブキはオスで、1歳半です。フブキはすでにお母さんの体重を越えて250キロ近くあります。豪太やフブキのような体の大きなホッキョクグマでも適切に体重を測ることのできる環境が望ましいです。

 

豪太とユキの子ども・フブキ。1歳半にしてすでに体重は母親越え!
豪太とユキの子ども・フブキ。1歳半にしてすでに体重は母親越え!

── 1歳半にしてお母さんの体重越えとは…!また赤ちゃんが生まれる可能性もありますか?

 

さん:
実は、ホッキョクグマの繁殖は非常に難しくて。ホッキョクグマは、現時点で全国に35頭(2022年7月現在)いますが、国内の飼育数は減少の一途を辿っています。

 

フブキは2020年に誕生しましたが、当館でのホッキョクグマの誕生は、8年ぶり2頭目に当たります。

 

── 男鹿水族館ではこれまで2頭の繁殖に成功したんですね。繁殖の秘訣はなんですか。

 

さん:
ホッキョクグマの子育てにストレスは大敵です。野生では巣穴にこもって出産するので、当館ではできるだけ自然に近い環境を用意するようにしています。

 

フブキの母親のユキ。ただいま子育てに奮闘中!
フブキの母親のユキ。ただいま子育てに奮闘中!

野生のホッキョクグマは9月〜11月に巣ごもりを始めて11月〜12月に出産するまで、絶食して巣穴にこもります。

 

赤ちゃんは500〜800グラムと小さいので、見た目では妊娠がわかりません。当館では、繁殖行動が見られたら真っ暗な産室(巣穴)を準備して出産に備えます。


実は、産室の下に当館職員用の駐車場があるのですが、出産前後の母グマにはわずかな音や光もストレスになる可能性があるので、産室にこもっている間は使用禁止にしています。

 

── 相当気をつかっていらっしゃるんですね。 産後も大変なんですか?

 

さん:
そうですね。前述の通り、あの大きな体からとても小さな赤ちゃんが産まれます。そのため、産室での子育ては「母体内の延長」と言われることがあります。母グマは出産後も2〜3か月は絶食のまま母乳を与え、赤ちゃんが外に出られるようになったらようやくエサを食べるのですが、その頃にはやはり痩せていますね。

 

その後も授乳をしたり、泳ぎ方を教えたりと、ひとり立ちをする2歳頃までは子育てが続きます。

 

── 母グマのユキを応援したくなりますね。体重計を整備して余ったお金でユキにお腹いっぱい食べさせてあげてほしいです…!

 

さん:
そうですね。目標金額を上回っていただいたご支援については、ホッキョクグマはもちろん、当館の生きものたちの健康管理のための環境整備や、必要機材の購入などに使用させていただく予定です。

 

実は、11月26日は、豪太とユキの誕生日。偶然同じ日なんです。なので、今年の誕生日に新しい体重計をプレゼントできるように準備を進めています。引き続き、SNSなどでも情報発信を行っていきますので、チェックしてもらえれば嬉しいです。

 

約40種2000匹もの生き物を展示する「男鹿の海大水槽」も見応えたっぷり
約40種2000匹もの生き物を展示する「男鹿の海大水槽」も見応えたっぷり

取材・文/林優子 写真提供/男鹿水族館GAO