ホッキョクグマが人気の「男鹿水族館GAO」(秋田県男鹿市)が、この夏初めてのクラウドファンディングを立ち上げました。ホッキョクグマの体重計を整備するための資金を募ったところ、クラファン終了は8月末にもかかわらず、スタートしてわずか1週間で目標金額を達成。クラウドファンディングの反響や至った経緯について、同館広報課の陶美穂子さんに伺いました。

推定400キロを測る体重計の整備に支援が殺到

── クラウドファンディングの目標額を1週間で達成されたそうですね。

 

さん:
クラウドファンディングは初めての試みだったので、どれくらい集まるか正直不安だったのですが、予想以上の反響に驚き、スタッフ一同感謝しています。

 

コロナ禍をきっかけにYouTubeなど、SNSの配信に力を入れたこともあり、支援は全国から集まりました。リターンは、入場券やグッズなどいろいろ用意しましたが、リターン不要の3000円や5000円のコースに支援してくださる方が多かったです。

 

「コロナ禍で行けないけど、いつかホッキョクグマの豪太に会いに行きたいので、健康管理よろしくお願いします」といった声や、「飼育員さんの動画にいつも癒されています。支援ができて嬉しいです」など、思わずホロっとするような温かい応援コメントをたくさんいただいて本当にありがたいです。

 

── クラファンを始めるきっかけは?

 

さん:
ホッキョクグマの豪太が大きくなったことで、体重計からおしりがはみ出してしまい、体重を測れなくなってしまったんです。豪太は国内でも最大級のホッキョクグマです。

 

最後に体重を測れたのは10年前なのですが、その時にすでに340キロありました。おそらく今は350~400キロ近くあるのではないかと予想しています。

 

体重計を設置する四角い枠からおしりがはみ出してしまう…!
体重計を設置する四角い枠からおしりがはみ出してしまう…!

正確な体重を知ることは、今後の健康管理を行う上でエサの量や投薬量を把握するためにとても大切です。ホッキョクグマの重みに耐えられるような体重測定の環境の整備が必要となるため、今回の200万円という目標金額になりました。

 

コロナ禍になる前から検討は進んでおりましたが、感染の拡大などで対応が遅れてしまいました。ですが、豪太の年齢を考慮するともうこれ以上先延ばしにはできないと感じ、ここ数年、水族館や動物園の間でも注目されているクラウドファンディングに私たちも挑戦してみることにしたんです。

 

── ホッキョクグマの体重はどのように測るのですか。

 

さん:
ホッキョクグマの展示場の寝小屋に設置している専用の体重計で測定します。

 

水族館の人気者・ホッキョクグマの豪太
水族館の人気者・ホッキョクグマの豪太

ホッキョクグマは、見た目はかわいくても「陸上最大の肉食獣」と言われるだけあって、とても危険な生き物です。直接抱っこをするなどして測ることはできないため、エサなどのご褒美をあげることで動物がきちんと体重計に乗るように促す「ハズバンダリートレーニング」を行いながら体重計に誘導します。

 

そうすることで、無理やり押さえたり我慢させたりすることなく、体重測定などの健康チェックができるようになります。