ある種武器を奪われたなかで時代にあった芸を探してる

出産後は仕事も変化しましたと語る白鳥さん

── 社会もそうですが、お笑いも転換期なのかな、と思いますが、いかがでしょうか。

 

白鳥さん:
自分たちが憧れていたテレビの世界とはまた違いますしね。

 

── 白鳥さんが憧れていた世界、というと…。

 

白鳥さん:
私たちはやっぱりさげすまされてた世代なので、それで笑いをとっている芸人さんがすごくかっこよく見えたんですよね。ブスだけど、うるせえ!って言い返して笑いが取れるみたいな。森三中さんとか、オアシズ光浦さんとか大久保さんとか、ああいうスタイルにすごく憧れていたんですよね。

 

── 確かに、今は容姿のことは言えない時代ですよね。

 

白鳥さん:
こっちはいじられたいけど、いじっちゃいけない空気になってるから、みんなで違う面白さをつくっていかなきゃいけないんだろうなと思います。

 

今の世代の子は、わりとそれができてるから、うらやましいですね。私たちは第5世代とか言うのかな、そこら辺がちょうど狭間で女芸人はみんな悩んでますよね。

 

── 今までやってきた芸と変えていかなきゃいけないっていう意識が強いんですね。

 

白鳥さん:
好きだから、どういうふうに笑いに変えていけばいいんだろうっていうのは、みんな手探りでやってますよね。だからちょっと失敗したり、スベったり、微妙だったり。あのときはこう言ってウケたけど、今日はウケないんだね、みたいなところはあります。

 

それも含めて、芸はやっぱり変わっていくものですから。ひとつの修行として、やっていかなきゃね、って女芸人同士で言ってます。

 

── ある種、いまは武器を奪われているような。

 

白鳥さん:
私は顎で売っていたのに、今はいっさいいじられない。自分から言ったら「私も顎が出ていて、白鳥さんのせいでいじめられました」という投稿もあるような時代なんですよね。

 

いじられることで本当のことを言ってくれて嬉しい。思っていないのに「かわいいね」って言われるのがいちばん傷つくじゃないですか。

 

ブスならブスって言ってくれよ!そしたらこっちも返せるから!っていう世界が好きだったんですけど、今はブスだと思ってても、あなたの個性素晴らしいねって言わなきゃいけない時代なので、そっちのほうが私にとってはつらい。

 

思ってること言ってよ!って思っちゃうんですけど。すごく難しいです、いま。

今までの芸とは変えていこうと思いつつと語る白鳥さん

 

PROFILE 白鳥久美子さん

しらとりくみこ。1981年生まれ。2008年に川村エミコとお笑いコンビ・たんぽぽを結成。朝の連続ドラマ「梅ちゃん先生」を始め、女優としても活躍している。2018年、お笑い芸人のチェリー吉武と結婚。2021年に第一子を出産。

取材・文/ふくだりょうこ 撮影/坂脇卓也