“間”を受け入れてクリアしたコロナ禍での進行
── 共演者と距離がある現場で、工夫や意識している点はありますか?
片渕さん:
現場の空気やテンポ感は変わらず大切にしています。ただ、物理的な距離によってできてしまうある程度の間は、受け入れるようになりました。
「今、話し終えたな」となってから次に進める形だと、ワンテンポ遅れることもあります。ですが、その場の状況はみんなが共有していますから、「落ち着いて対応すれば大丈夫…」と。自分に余裕を持たせることで、スムーズな進行ができるようになったと思います。
── リモートで空気が読みにくいと、どうしても間が気になってしまいます。でも、「沈黙の瞬間ができてもいいや」と考えるくらいでいい、ということでしょうか?
片渕さん:
リモート会議などで間が空くと、「この間を埋めなきゃ」と焦ってしまいますよね。ですが、リモート上の全員が、その間を共有しています。もしかするとタイミングを見て、話し出すつもりの人もいるかもしれません。
焦らずに「ひと呼吸、遅れてもいい」くらいの余裕を持つほうが、相手の話をきちんと聞ける流れにも、なりやすいと思っています。
質問力を上げるポイントも準備が大切
── 取材のとき、聞きたい話が明確にあっても「どう質問するのがいいか」「この聞き方で、適切か」と、不安や迷いを感じることはないですか?
片渕さん:
「質問力」に関しては、私も専門家やスポーツ選手、経営者の方にお話を聞く際に、「どう質問したら、答えやすいか?」は、常日頃考えます。
「伝える」場面と同じ話になりますが「聞く」ときにも、事前にしっかり準備すると理解が深まるし、話題が思いがけない方向に飛んだとしても、そこから広げられます。
営業の方が初めての取引先へ行く前、その会社を調べたり、業界ニュースをチェックしたりして、ニーズを聞き出す材料にすると思います。そうした準備が、質問力を上げると感じていますし、ひいては「聞く力」にも繋がってきますね。
── 担当の報道番組では、さまざまなテーマの取材があります。普段、どういう準備をしていますか?
片渕さん:
モーサテなどでは経済について、専門家の方に話を伺うことが多いのですが、取材前に、その時々のテーマに関して、できるだけ広範囲に調べます。
たまに予想した方向と、違う角度の答えが返ってくることもあるんです。ですので、日頃から幅広く情報をインプットしておけると、安心しますね。
ただ、取材のたびに付け焼き刃の情報を詰め込むだけだと、どうしても飛び飛びの点の知識になりがちです。全体を理解するにはたりないこともあって、きちんと線でつながった知識にするため、仕事以外での学びも必要だと感じています。それで、簿記の資格を取って、今はFP(ファイナンシャルプランナー)の資格取得を目指して勉強しているところです。
PROFILE 片渕茜さん
佐賀県生まれ。2016年アナウンサーとしてテレビ東京に入社。多くの番組を担当し、「出没!アド街ック天国」で井ノ原快彦宣伝部長に振られる佐賀弁トークや、Instagramの「佐賀弁お天気」も話題になっている。
取材・文/鍬田美穂 写真提供/テレビ東京