グミ人気の秘密は「グミニケーション」
── グミはおいしいから話題になるのですか?
武者さん:
もちろん、おいしいから話題になるものもありますが、そうとも限りません。私は「グミニケーション」と呼んでいるのですが、グミって食べることだけでなく、グミに付随するストーリーだったり、グミを通してのコミュニケーションが魅力なんです。
たとえば、以前、カンロから3つの味が楽しめる「ふわもちかちグミ」が発売されました。そのパッケージには◯=軽い食感、△=もっちり食感、□=ハード食感を示した「◯△□」がデザインされています。この「◯△□」に、ジャニーズのNEWSファンが反応しました。
どうやら、NEWSのメンバーにはそれぞれのメンバーに◯△□のマークが付けられているらしいのです。グミの◯△□をファンが勝手に解釈して、「これってNEWSのメンバーだよね!?」と。それによりNEWSファンを中心に、「ふわもちかちグミ」はバズりました。
最近、ノーベル製菓の亀型のグミ「カメカメSOURS」から待望の梨味が発売されました。CMに出演している亀梨和也さんとかけて、私もTwitterで「カメカメ梨。そう!亀梨くん!」と発信したところ、非常に反響がありましたね。
── 亀や雲など、特徴的な形のグミも増えている気がします。
武者さん:
SNSの「映える」要素に関係しているので、グミの形も非常に重要です。雲の形をした「あの日夢見た雲グミ」も典型的な例ですね。話題になり再販されました。
グミの形で、ひとつ面白いエピソードがあります。UHA味覚糖の「とろけるグミ」は、雫型のグミで、溶ける温度がほかよりも低く、他にはない口溶けを楽しめる商品です。
「とろけるグミ」は最初、メーカーのいわゆる主力商品ではありませんでした。しかし私たちは2015年くらいからずっと美味しいとSNSを通して言い続けていました。
そんななか、2021年に、テレビ番組「KinKi Kidsのブンブブーン」でKinKi Kidsや日本グミ協会所属のグミ愛好家の吉岡里帆さんが「雫型を見つけたら絶対に買ったほうがいい!」と絶賛。
それにより「とろけるグミ」をはじめ、「雫型のグミ」がUHA味覚糖さんから安定して出るようになったなと感じています。今、雫型のグミはUHA味覚糖さん以外のメーカーからも発売され、グミの一つの形としてレギュラー化されています。
── SNSの拡大と共にグミはどんどん進化しているんですね。
武者さん:
そうなんです。SNSの力が大きなうねりとなって、メーカーを動かしていますから。メーカー側もそれはよくわかっていて、SNS向けにグミのアレンジレシピを提案するなど、一緒になって「グミニケーション」を楽しんでいます。
グミが人と会話が弾みやすいお菓子であること、そして、芸能人も一般人もメーカーも関係なく一緒に楽しめる自由なツールであること。グミは、さまざまなポテンシャルを秘めた、かつてない魅力を持ったお菓子だと思いますね。
取材・文/酒井明子 写真提供/日本グミ協会