グミ人気の秘密は「グミニケーション」

── グミはおいしいから話題になるのですか?

 

武者さん:
もちろん、おいしいから話題になるものもありますが、そうとも限りません。私は「グミニケーション」と呼んでいるのですが、グミって食べることだけでなく、グミに付随するストーリーだったり、グミを通してのコミュニケーションが魅力なんです。

 

たとえば、以前、カンロから3つの味が楽しめる「ふわもちかちグミ」が発売されました。そのパッケージには◯=軽い食感、△=もっちり食感、□=ハード食感を示した「◯△□」がデザインされています。この「◯△□」に、ジャニーズのNEWSファンが反応しました。

 

2021年発売の「ふわもちかちグミ」。NEWSな形状が話題に!(写真:日本グミ協会公式Instagramより)
2021年発売の「ふわもちかちグミ」。NEWSな形状が話題に!(写真:日本グミ協会公式Instagramより)

どうやら、NEWSのメンバーにはそれぞれのメンバーに◯△□のマークが付けられているらしいのです。グミの◯△□をファンが勝手に解釈して、「これってNEWSのメンバーだよね!?」と。それによりNEWSファンを中心に、「ふわもちかちグミ」はバズりました。

 

最近、ノーベル製菓の亀型のグミ「カメカメSOURS」から待望の梨味が発売されました。CMに出演している亀梨和也さんとかけて、私もTwitterで「カメカメ梨。そう!亀梨くん!」と発信したところ、非常に反響がありましたね。

 

2022年夏に発売の亀型のグミ「カメカメサワーズ」(写真:日本グミ協会会長・あいうえおさんのTwitterより)
2022年夏に発売の亀型のグミ「カメカメサワーズ」(写真:日本グミ協会会長・あいうえおさんのTwitterより)

── 亀や雲など、特徴的な形のグミも増えている気がします。

 

武者さん:
SNSの「映える」要素に関係しているので、グミの形も非常に重要です。雲の形をした「あの日夢見た雲グミ」も典型的な例ですね。話題になり再販されました。

 

グラスにグミを貼り付けてブルーのソーダを入れてSNSに投稿する人がいっぱいいた (写真:日本グミ協会会長・あいうえおさんのTwitterより)
グラスにグミを貼り付けてブルーのソーダを入れてSNSに投稿する人がいっぱいいた (写真:日本グミ協会会長・あいうえおさんのTwitterより)

グミの形で、ひとつ面白いエピソードがあります。UHA味覚糖の「とろけるグミ」は、雫型のグミで、溶ける温度がほかよりも低く、他にはない口溶けを楽しめる商品です。

 

「とろけるグミ」は最初、メーカーのいわゆる主力商品ではありませんでした。しかし私たちは2015年くらいからずっと美味しいとSNSを通して言い続けていました。

 

日本グミ協会が2020年に投稿した「とろけるグミ」のツイート(写真:日本グミ協会公式Twitterより)
日本グミ協会が2020年に投稿した「とろけるグミ」のツイート(写真:日本グミ協会公式Twitterより)

そんななか、2021年に、テレビ番組「KinKi Kidsのブンブブーン」でKinKi Kidsや日本グミ協会所属のグミ愛好家の吉岡里帆さんが「雫型を見つけたら絶対に買ったほうがいい!」と絶賛。

 

それにより「とろけるグミ」をはじめ、「雫型のグミ」がUHA味覚糖さんから安定して出るようになったなと感じています。今、雫型のグミはUHA味覚糖さん以外のメーカーからも発売され、グミの一つの形としてレギュラー化されています。

 

── SNSの拡大と共にグミはどんどん進化しているんですね。

 

武者さん:
そうなんです。SNSの力が大きなうねりとなって、メーカーを動かしていますから。メーカー側もそれはよくわかっていて、SNS向けにグミのアレンジレシピを提案するなど、一緒になって「グミニケーション」を楽しんでいます。

 

グミが人と会話が弾みやすいお菓子であること、そして、芸能人も一般人もメーカーも関係なく一緒に楽しめる自由なツールであること。グミは、さまざまなポテンシャルを秘めた、かつてない魅力を持ったお菓子だと思いますね。

取材・文/酒井明子 写真提供/日本グミ協会